デューク松本と行く!エピソード3観覧の旅

日本での公開まで待ちきれない!玄界灘を越えて一足先にスターウォーズを満喫してきちゃいました。でも、日本とはちょっと事情が違うよう…

アンニョンハセヨ!デューク松本です。まずは、釜山と私の関係をご紹介します。ご存知の通り、福岡と釜山は地理的に非常に近く、航路を利用すると信じられないぐらい安い旅費で海外旅行を楽しめます。なので私たち九州・山口居住者にとって釜山はとても身近な街なのです(高速船を使った、焼肉+ショッピングを楽しむ日帰りツアーもあるんですよ!)。
また、釜山は毎年秋にアジア圏最大の映画祭「釜山国際映画祭」が開催されている事でも知られています。その規模は年々膨れ上がり、昨年は23の国と地域から262本の映画が出品・上映され、開催14日間で約17万人の観客動員がありました。日本からも多くの作品やゲストが参加しています。また、アジアの中でもフィルムコミッションの設置が早く、映画のロケ地としても有名です。
そう、釜山はれっきとした「国際映画都市」なのです。私が最初に釜山を訪れたのは5年前の「第5回釜山国際映画祭」でした。その時は釜山を強烈な寒波が襲い、九州人の私はその大陸性の凄まじい気候にたじろくばかりでしたが、気候だけではなく映画祭の規模と激しくも情が厚い釜山人のマンパワーに圧倒され、韓国というよりか釜山にすっかり魅了されてしました。もちろん韓国では映画鑑賞は一般的にとても人気がある娯楽で、韓国映画はもちろん、アメリカのメジャー映画の封切りが日本より遥かに早い事が多いんです。そんでもって、私は映画鑑賞がてら釜山をちょくちょく訪れて、現在に至ります。
日本より断然早い!「スターウォーズ エピソード3」韓国公開
去る5月26日(木)、世界中で話題のSF超大作「スターウォーズエピソード3/シスの復讐」が韓国で公開されました。この映画はアメリカ含め世界の多くの国で5月19日公開だったのですが、韓国はその僅か1週間遅れのロードショーでした。日本での公開は7月9日なので、ずいぶんと早いでしょう?その情報を事前に聞きつけた我々は番組で仲間を募り、「エピソード3」釜山観賞ツアーを決行することとなりました。期待に胸を膨らませ決行の日を待ったのですが、まさかそれがとんでも「ズッコケ」 珍体験になるとは...。
企画段階から「ズッコケ」る
このツアーは企画段階から波乱含みでした。特に韓国の映画の封切り日。当初「エピソード3」の公開は5月19日と告知されていました。これは世界公開と同日、では時差の関係でアメリカ本国より早く見れるやん!とウキウキしながらツアー準備をしてたんですが、ツアー告知開始直前の4月中旬に、封切りが5月 26日に変更になったらしいという情報が飛び込んできました。私たちの目的は「エピソード3」を公開初日に鑑賞する事なので、これは一大事です。慌ててインターネットで調べても、韓国で調査してもらっても、確かな情報が得られません。それは、韓国での映画の公開情報が流動的で、公開日が直前で延期されたり、公開前にその映画が始まっているなんてザラなのだからです。さすが「ケンチャナ(だいじょうぶ!)」の国民性、恐るべしです。結局、確認できたのは日本のゴールデンウィーク中。それも、「恐らく26日で間違いないだろう」という程度でした。やれやれ。
決行の暁
直前になり封切りが5月26日(木)にほぼ固定化され、無事に出発の朝を迎えました。朝8時、まずは博多港国際線ターミナルで参加者のみなさんと合流し、コビーで釜山に向けて出発です。さすが1泊2日の旅とあり、皆さん荷物が少なめで、とても海外旅行とは思えません。定刻の9時に船が動き出します。天気は良好、波も穏やかです。福岡西方沖地震の傷跡も生々しい能古島や玄海島を横目に船はグングンとスピードを上げていきます。
船内上映は「スターウォーズエピソード2/クローンの攻撃」。我々の気分を盛り上げてくれます。映画を見終わったときにはもう釜山の陸地が見え始めました。早い!釜山港は入り江状で、九州でいうと長崎湾が大きくなったような感じ。左右両岸を高層マンションやドッグが軒並む陸地に挟まれながら、船はひた進みます。到着は定刻の昼12 時、下船後すんなり入管を通過し、ついに釜山上陸です!
釜山港到着後はそれぞれ別行動だったけど、夜7時30分、「エピソード3」鑑賞のために南浦洞・PIFF広場のマクドナルドに全員集合です!ここで私たちツアー参加者と、別ルートで福岡から釜山入りした人、釜山のスターウォーズ・ファン(?)たちが一同に会しました。といっても、総勢6名。しかも、張り切っている私たちをよそに、周囲は普段の平日の夕方の風景が広がります。学生たちが待ち合わせしたり、ハンバーガーを頬張る姿ばかり。ダースベーダーに変装したり、ライトセーバーを振り回している輩が一人や二人はいないのか、今日は「エピソード3」初日だぞ...。
ちょっと不安になりつつ、鑑賞はマクドナルド上の「釜山劇場」にて。毎年、映画祭の会場にもなってる釜山を代表する映画館です。チケットはナビの協力のもと、事前に最高のポジションを確保してもらったので、これで「売切れで見れなかった」なんて事はないはず。上映は8時10分、学校や仕事帰りの観客で最も賑わう時間帯です。韓国ではチケットに表示されている上映時間が映画本編が始まる時間なので、そそくさと劇場に入ります。館内はさぞ盛り上がっている事だろう。いよいよ「エピソード3」 鑑賞だぁ!
新作映画の予告編がいくつか上映された後、唐突に20世紀フォックスのファンファーレが始まりました。そしてルーカス・フィルムのロゴに続き、A long time ago in a galaxy far, far away.... (遠い昔、遥か彼方の銀河系で)のテロップが。
※再現です

※再現です

次の瞬間、ジャン!って感じで「STAR WARS」のロゴがテーマ曲と共に登場!「Episode3: Revenge of the Sith」のプロローグが銀河の彼方へと吸い込まれていく...。お約束のシーンながら、これだけで感無量。なのですが、周囲を見渡すと、あらあら空席だらけじゃん...。どこぞからか、ほのかにスルメの匂りも...、スターウォーズにスルメはないよな~。まあいい、スクリーンに集中しよう。のっけから大迫力な宇宙戦争が繰り広げられます。空中戦でもオビ=ワンとアナキンが大活躍、ドゥーク伯爵を追いつめるべく敵宇宙船に乗り込んだ2人の手にはライトセーバーが光る...(ビュ~ン)。
ここからの内容は見てからのおたのしみ。想像以上にアクションあり、涙ありで、エンドロールが終わるまで立てなくなるほど素晴らしい作品でした!韓国の観客の素直な反応も楽しめたし。彼らは普通だったらエンドロールが始まったらそそくさと劇場を後にするのですが、今回ばかりは腰が重そう。そのエンドロール自体も普段は途中でブチッと切られてしまうのですが、今回は劇場の配慮もあり、最後まで流してくれた。感激です!それでも、最後まで見てたのは私たちだけでしたが...。
観賞後は余韻に浸りつつ、劇場近くのバーで打ち上げです。バーといってもビルのワン・フロアを使っているので、さながらビアホール。だけどサックスの生演奏やきれいな出立ちの従業員でどこか高級感が漂うお店です。なんといっても南浦洞の夜景パノラマを見渡せるのが最高!そこで一晩飲んだくれながら、エピソード3の感動と国境を超えた「映画愛」を語り合いましたとさ。
感動から一夜明けて
次の日も出発まで別行動です。私にはどうも気掛りな事がありました。そう、昨夜のお客さんの少なさです。実際、韓国ではスターウォーズは人気がないのでは...、その真偽を確かめようとひとり西面へ向かいました。西面は今や釜山のショッピングの中心地ですが、近年「ロッテシネマ」「MEGA BOX」「CGV」という3大シネコンがひしめく映画館激戦区でもあります。それぞれの劇場に足を運んでみると、午前中なのにも関わらずチケット売り場は人でぎっしりでした。当日券を買うにも50~100人待ち。どうやら今から映画を見るというよりか、今夜のチケットを買っているようです。今日は金曜日ですからね。
タイムテーブルで1日の上映本数をチェックすると、 もちろん「エピソード3」が1番多のですが、それと同日公開されたハリウッド版「THE JUON/呪怨」も同数で上映されてるではありませんか。そして大ヒット中の韓国映画「南極日誌」も同じぐらい。そうなんです、韓国では「エピソード3」といえども普通の人気作扱い、むしろ上映総本数からすると韓国映画のほうが人気があるようです。さすが韓流のメッカ、スターウォーズより自国の作品のほうが人気があるなんて、またまた恐るべしです。そしてタイムテーブルをよく見ると...、なんとロサンゼルス同様に「エピソード3」が26日早朝の午前0時にカウントダウン上映されてるではないですか!知らなかった...。なるほど、コアなスターウォーズ・ファンはそこでイベントを楽しんでたワケですね。しかも、なぜか「THE JUON/呪怨」もカウントダウン上映されていた...。う~ん、韓国人と日本人には映画趣向ではビミョーな差があるようです。ここで、昨夜のエピソード3の観客の少なさをまとめてみると、

* 昨夜は平日だった
* スターウォーズといえども韓国では普通の映画
* むしろ韓国映画の方が人気がある
* コアなファンはカウントダウン上映に参加していた
となります。話に聞くとスターウォーズの最初のシリーズが公開された時(1977~1983年)は劇場が連日満員になるほど人気だったそうですが、マニアを生み出すほどではなかったそうです。また、南浦洞の映画館街が釜山各地で進むシネコンの建設ラッシュに押され気味なのかもしれません。私は結局、その足でロッテシネマにて日本未公開のアメリカ映画「A Lot Like Love」(アシュトン・カッチャー主演のラブ・コメディ)を鑑賞して、 釜山港フェリーターミナルへと向かいました。
午後4時、釜山港を後にします。2日間の滞在はあっという間でした。帰りのコビーでは記念すべき第1作「スターウォーズエピソード4/新たなる希望」が上映されていました。私たちにとっては、なんと気が利いた上映プログラムなのでしょう。日韓のスターウォーズ温度差でズッコケた部分も多少ありましたが、作品が素晴らしかったこともあり、「スターウォーズ」28年のサーガの終焉にそれぞれの思いを胸に抱きつつ博多港に向かうのでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-06-30

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