釜山映画館紀行…(1)海雲台エリア

目指すは東洋のハリウッド!?最先端のシネコンあり、伝統的な大スクリーンあり。

アンニョンハセヨ、デューク松本です。秋夕も終わり、釜山にも本格的に芸術の秋がやってきました。第10回釜山国際映画祭の開幕ももうすぐですね。

映画好きにとってはこの時期の釜山はとてもワクワクさせてくれます。ご存知、韓国は映画熱が高く、韓国映画はもとより多くのハリウッド映画の封切りが日本よりも早いことでも知られます。

そんな韓国を訪れる際にはぜひ映画館にも立ち寄って映画鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。もちろん日本語字幕は付いてませんが、日韓の文化の違いを垣間見ることができ、いい土産話になることでしょう。
海雲台は韓国のワイキキ!?ハリウッド!?
この夏も連日海水浴客で大賑わいだった韓国随一のビーチリゾート海雲台。高級ホテルが立ち並び、カジノや免税店を有する海雲台は日本から訪れる方も多いでしょう。

また海雲台は近年、多くの韓国映画が撮影されることになる「釜山映画撮影スタジオ」が開業し、韓国を代表するシネマ・コンプレックス(複合型映画館、略称「シネコン」)が相次いでするなど、映画エリアとしても大変注目されています。

今年11月にはシネコン・チェーン韓国最大手のCGVが開業し(なんとプリモスの対面!)、さらには釜山映像センター近くに3スクリーンを有する釜山国際映画祭専用劇場を、2008年には東洋最大である 5000席規模の巨大映画館を建設予定で、今後ますます目が離せません。もはや事実上の映画特区、韓国のハリウッドと化している海雲台。そこで海雲台滞在の際にはぜひ立ち寄ってみたい、3つの映画館をご案内しましょう。

<メガボックス・シネプレックス海雲台 Megabox Cineplex Heaundae>

まずは海雲台エリアで最も人気がある映画館「メガボックス・シネプレックス海雲台」をご紹介。地上は国鉄、地下は地下鉄のターミナル駅となっている海雲台駅から東に徒歩2分、ショッピングモール「スポンジ」の6階に軒を構える「メガボックス海雲台」(韓国では「メガバクス」と発音します)はアメリカ本土で有名な映画館チェーン「ロウズ・シネプレックス」の系列シネコンです。
メガボックスが入ったスポンジ

メガボックスが入ったスポンジ

オープン当初から釜山国際映画祭の会場の一つとなっていますが、映画祭本部が海雲台に移った3年前から映画祭メイン会場になった感あります。週末になるとチケットを買うのに1時間待ちは当たり前の盛況ぶりで、上映時間直前に劇場に出向いても映画は見られませんのであしからず。
メガボックスの特徴は映画鑑賞の楽しみを盛り上げるエンターテイメント性の高い雰囲気作りです(日本でいうと「ワーナー・マイカル・シネマズ」みたいな感じ)。

韓国内に数あるシネコンの中でも最もエントランスなどの内装がきらびやかで(ぶっちゃけ、派手!)、大きな作品宣伝物が並ぶ中、中心にある巨大モニターには常に予告編が上映、高い天井狭しと張り巡らされたネオン管が石敷の床に反射し、映画鑑賞への高揚感を否応なく高めてくれます。2002年に開業した海雲台店はメガボックスとしては西面店に続く釜山2号店。
1フロアまるまる使った余裕のスペース展開の海雲台店はチェーンの中でもずば抜けて目映く(それは未来建築で有名なサンフランシスコのメトレオン・ソニー・シアターを凌ぐ!)、映画鑑賞せずともそのエントランスを覗くだけでも訪れる価値はあるかも。  

全10スクリーン。総席数2033席。ドルビーサラウンドシステム採用。チケットはスポンジ1階奥のボックスオフィスで販売しています。ちなみに韓国ではチケットは一般的にクレジットカードで購入できるのですが、ここでは日本のクレジットカードでは対応していない場合があります。上映前だったらチケットの払戻しができます。

<プリモス・シネマ海雲台 Primus Cinema Heaundae>

今年から映画祭会場の仲間入りとなる「プリモス海雲台」は今年4月にオープンしたてのホヤホヤ。地下鉄海雲台駅の2つ先「萇山駅」(地下鉄2号線の終点)の出口すぐそばにたたずんでます。
このあたりは海雲台ニュータウンと呼ばれる新興エリア。オープン当初の3日間は全作品鑑賞無料というなかなか大胆なキャンペーンを展開しました(韓国なら当たり前?)。それも古参メガボックスへの対抗策なんでしょうね。
雰囲気はポップなメガボックスに比べてとても大人な感じ。全体的に黒が基調で、床は大理石とおぼしき石が敷き詰められているなど重厚感がある内装です。日本でいうと「TOHOシネマズ」みたいな雰囲気ですね。 
まだ認知度が低いのか、いつ行っても大繁盛って感じではないですが、釜山の映画通曰く「釜山に今ある中で最高の映画館ですよ」とのこと。それもそのはず、この劇場はなんと釜山初の「DLPシネマ」導入館なのだ。通常、映画を上映する際は主に35mmフィルムを使いますが、DLPシネマはDVD同様に映画をデジタル上映するシステムで(もちろん解像度はDVDの比ではないが)、元々デジタル制作された映画の上映に素晴らしい威力を発揮する全く新しい映画上映システムなのです。

最近だったら「マダガスカル」のようなCGアニメはもちろん、「スターウォーズ エピソード3/シスの復讐」などデジタル制作された実写作品を見るにはうってつけです(注意:従来のフィルム制作作品はこれまで同様フィルム上映です)。

また、座席は大変優れたリクライニング・シートを採用しています。背もたれが悠々頭まであるこのシートのリクライニングはとにかく沈むこと沈むこと。さらに、大人1人10000ウォンのチケット料金を払うと、ゴージャスなスーパーリクライニングシートに座る事もでき、旅客機のビジネスクラスに座ったような気分で映画鑑賞ができます(スクリーン限定)。
音響的にはショージ・ルーカス推奨のTHXサラウンドシステムを導入しているので、これらを組み合わせる事により一般劇場では世界最高水準の映画鑑賞ができるというワケです。
劇場はテナントビルの7~8階に位置してます。外観は劇場の看板や映画のポスターが表示しているのでわかりやすいですが、新築ビルなので空きテナントが多く、現時点では閑散としたイメージがあります。

そして1階のエレベータ乗り場がとても地味なので、初めて行く人はエレベータに乗る時にちょっと躊躇するかも。でもご心配なく。エレベーターで7階まで上ると、そこにはプリモス・ワールドが待っていますよ!全10スクリーン。総席数1843席。チケットは同フロアのボックスオフィスで販売しています。
チケットは上映直前まで払戻しができます。また同フロアにはフードコートやインターネットも利用できるゲームコーナーがあるので待ち時間に利用してみては。

<海雲台グランドホテル映画館(グランドマックス)>

最後に紹介するのは映画祭とは関係ありませんが、海雲台グランドホテルのレジャー館地下1階に位置するロードショー館「海雲台グランドホテル映画館(通称:グランドマックス)」です。
1996年に釜山初のIMAXシアターとしてオープンしたので、その巨大スクリーンが最大の特徴です。後にこのエリア唯一の一般映画のロードショー館にくら替えし、その巨大スクリーンで人気作を見ようとする観客が押し掛け盛況を極めました。しかし、2002年より海雲台にシネコン開業ラッシュが訪れると、その多スクリーン展開に客足を奪われますが、巨大スクリーンは今なお健在。

人気作品でも混み合う事なく、くつろいで映画鑑賞ができるのが魅力となっています。座席数は268席。ドルビーサラウンドシステム採用。上映される作品は基本的に最新作単作の2週間公開。深夜上映はやっていません。
チケットはレジャー館1階のインフォメーション・カウンターで販売しています。金海空港からリムジンバスも運行されていて、映画観賞後は眼前に広がる海雲台ビーチを散策するのもいいでしょう。

また、映画館があるフロアには28レーンを有するボーリング場も完備しています。海雲台グランドホテルはもちろん、近くの釜山ウェスティン朝鮮ホテル、オーシャンタワーホテルなどに滞在されている方は是非利用してみてください。
いかがでしたか?メガボックスとプリモスは映画祭の会場となっているので、映画祭での劇場選びにもご参考ください。海雲台にはこのほかに映画祭が運営する映像ライブラリー「シネマティーク」やドライブイン・シアター「シネパーク」もあり、それぞれ特色があるので追って紹介したいと思います。以上、デューク松本がお送りしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-09-30

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