第10回釜山国際映画祭の部門別注目作品

映画祭期間中に上映される映画は、釜山国際映画祭史上最大の301編!!この中でも特に注目の集まる映画を部門別にピックアップ

アニョンハセヨ、プサンナビです。第10回釜山国際映画祭まであと残すところ1ヶ月を切りました!皆さん、先週の開・閉幕式のチケット販売ではチケットをゲットすることができましたでしょうか?例年同様、かなりの激戦だったようですが、残念ながら取れなかった人も、開幕式のチケットをゲットして初日から釜山入りする方も、23日からの一般映画のチケット販売に向けて、どんな映画を見る予定かなどと計画を立てているのではないでしょうか?ということで、今日は、映画最中に上映される映画を部門別に分けて、注目の作品を紹介していこうと思います。

9つの部門

上映作品は全部で301編で、そのうち31作品は、今回の映画祭が初お披露目ということでした。また、今年は、301作品の映画を9つの部門に分けられています。

<A Window on Asian Cinema>
2005 年アジア映画は、全般的に沈滞気味の中、巨匠と呼ばれるアジアの監督のカムバックや若い監督の挑戦的な作品などでアジア映画の成功を導くであろうといわれている作品が集まった部門。鈴木清純監督、オダギリジョー主演の「オペレッタ狸御殿」や2001年のNYテロ事件に触れたモフセン・マフマルバフ監督の新作「Sex and Philosophy」、韓国の女優ペ・ドゥナが出演して話題となった山下敦弘監督の「リンダ・リンダ・リンダ」など38作品がエントリー。
「The Willow tree」
監督: マジット・マジディ(イラン)
内容: 「運動靴と赤い金魚」で知られるイランのマジット・マジディ監督の作品。人間の幸福はどこから始まるか? 人間の幸福はどうして常に割れやすいか? 幼い時に視覚を忘れてしまった 45歳の大学教授Yusefは、手術を通じて目を見えるようにする。数十年の間、可愛らしい妻と娘, そして満足な職業と共に幸せな生活を享受して来た彼が、目が見えるようになってから、とても幸せだと感じるようになる。ところが、少し立つと、彼の愛する対象が変化するようになる。肉体の目は得るが, 心の目が遠くなったということだ。 結局、彼は盲人だった時の幸せを忘れてしまい・・・。
<New Currents>
今年のNew Currentsは、今までこの部門を経てデビューしていった監督たちとこれからの切り開いていってくれるであろう監督達の作品が中心。ドキュメンタリーであったり、ファンタジー作品だったり、哲学的な作品であったりと多様な主題の作品が多い。船橋敦監督の「Big River」や韓国、中国共同制作したチャン・リュー監督の少数民族の悲劇話「亡終」など11作品がエントリー。
「The Shoe Fairy」

監督: リー・ユンチャン(台湾)
内容:短編映画で数々の賞を受賞したリー・ユンチャン監督の長編映画デビュー作。歩くことができない少女ドドは、童話を聞きながら大きくなる。手術後ドドは歩くことができるようになるが、術後、靴に過度な執着を見せはじめる。ある日、歯科へ行った彼女は歯科医スミルリと恋に落ちて結婚をするが、事故が起こってまた歩くことができなくなり、果てしない挫折に陥るが・・・。少女ドドの心理をファンタジー風に描く。
<Korean Panorama>

今までになく、今年は韓国映画の多様な映画を集めるだけでなく、新作映画もいくつか登場する。公開され話題となったパク・チャノク監督の「親切なクムジャさん」や映画祭常連監督のキム・キドク監督の「弓」、韓流スターとして人気のペ・ヨンジュン主演、ホ・ジノ監督の新作「外出」、そしてイ・ビョンホンが主演と話題になったキム・ジウン監督の「甘い人生」など全部で19作品の上映予定です。
「Welcome to Dongmakgol」

監督: パク・ガァンヒョン
内容: 今年最高のヒット作として名高い「Welcome to Dongmakgol」は、現在640万人(2005年9月上旬現在)を動員し、韓国映画の歴代興行成績4位と話題作。1950年に勃発した朝鮮戦争のさなか、ある山の絶壁にある村、トンマッゴルにP-47D米軍戦闘機が墜落。この光景を目撃した村の娘ヨイルは村人に伝えに行く途中、人民軍(北朝鮮)のリー・スファー一行に出会う。彼らを村に連れて行くと、村長の家を道に迷った韓国軍のピョ・ヒョンチョル一行が訪ねていた。韓国軍、人民軍、連合軍が村に大集合し、緊張感は最高潮に。村に墜落した米軍機が敵に爆撃されたと誤認した韓国軍は、村を集中爆撃することになるが・・・。
<World Cinema>

総58作品の上映作が集まったWorld Cinema部門には、兄弟で映画監督として有名なベルギーのダルデンヌ監督や数々の賞を受賞したドイツのヴィム・ヴェンダース監督など世界的に有名な監督の新作が上映されます。また、代表的な監督の作品だけでなく、イスラエル、ポーランド、ハンガリー映画なども注目されています。
「The Child」

監督: リュック・ダルデンヌ、ジャンペール・ダルデンヌ(ベルギー)
内容:先日のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した注目作品。幼いカップル、ブルーノとソニャに子供が生まれ、人生が変化していくストーリー。盗みや物乞いで食いつなぐ無責任なブルーノは、子供が生まれると子供を売り飛ばす。ショックを受けたソニャは、回復することができない精神状態に陷る。やっと自分の過ちをわかったブルーノは、事態を戻すために懸命になる。人間の複合的な感情の中で倫理の問題を言及している作品。ダルデンヌ兄弟特有の観察的視線が光っています。
<Wide Angle>

ドキュメンタリーやアニメーションが中心の部門。特に、「Midnight Movie(カナダ)」、「Vietnam Symphony(オーストラリア)」、「Angry Monk(スイス)」、「The Grace Lee Project(アメリカ)」などはドキュメンタリー制作の多様な可能性を見せてくれる作品。そして、「Crossing the Bridge-The Sound of Istanbul(ドイツ)」はミュージックドキュメンタリーとして注目されいる。
「Bosnian Diaries」

監督: フアキン サピーニョ(ポルトガル)
内容:1996年、ボスニア内戦終戦後、平和協定が締結された当時のボスニアにいた監督。二つに分裂された国家の記録、戦争の記憶、死、破壊、などで被害を受けたものたちのドキュメンタリー。
<Critic`s Choice>

この部門が出来てから今年で4年目のCritic`s Choiceは、昨年と同じく、10作品がエントリー。その中でも特に注目したいのが、先日のカンヌ映画祭でカメラドールを受賞したミランダ・ジュライ監督の「Me and You and Everyone We Know」。また、韓国のシン・ヨンシク監督の作品「A Great Actor」にも注目。
「Me and You and Everyone We Know」

監督: ミランダ・ジュライ(アメリカ)
内容:2005 年58回カンヌ映画祭のカメラドール受賞作品。他人の二人が出会って、新しい関係を結ぼうと努力する。寂しい芸術家のクリスティーンと男やもめになったリチャードの二人は、お互いの関係に確信を持つことができない・・・。現代社会での人間関係を成熟して洞察力ある作品に仕上げた。
<Open Cinema>
「思い出と浪漫」をテーマにした今年のOpen Cinemaは全部で6作品。日本では夏に公開された河毛俊作監督の「星になった少年」が招待されました。

「Two Brothers」
監督: ジャン・ジャックアノー
内容:ショーンコネリー主演「薔薇の名前」やブラッドピット主演「セブン・イヤーズ・インチベット」の監督として有名なジャン・ジャックアノー監督が、監督、脚本、原作、製作と一人4役をこなした話題作。幼い時に、一匹はサーカスに売られて, 残り一匹は富者のペットになってしまった兄弟トラの再会、そしてフランス領インドシナのジャングルにいる自分たちの故郷に帰る感動ストーリー。

<Special Programs in Focus>
イランの伝説的なSoharab Shahid Sa Less監督の作品、タイのR.d. Pestonji監督のミュージカル、スリラー、メロドラマなど4作品、そして最後にインドネシア史上最も優れた監督として知られるTeguh Karya監督の代表2作品が上映されます。それぞれの監督はすでに他界し、Special Programs in Focusは、回顧展のような位置づけになっています。

<Korean Retrospectime>
この世を去ってから30年という韓国のリ・マンヒ監督の回顧展。節目の年。彼は、映画制作に携わっている15年間に50本をも作った監督として知らている。上映作品は、10作品。

<PIFF`s Asian pantheon>
釜山国際映画祭が 10周年を迎えたことを記念した特別な部門。過去のアジア映画の中からPIFFがオススメする選りすぐりの30作品を上映します。

今年は、釜山国際映画祭が10周年という節目の年なので、例年よりも世界的にネームバリューある監督の作品が多いように思います。日本でまだ公開されていない作品も目白押しなので、この映画祭で是非、普段見られない世界各国の映画を堪能してみてください。以上、プサンナビがお送りしました。

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記事登録日:2005-09-15

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