第9回釜山映画祭・映画『アバウト・ラブ/関於愛』インタビュー

釜山国際映画祭に出品された、来春日本公開予定の日中合作映画に迫ります!!

アニョンハセヨ、プサンナビです。7日から開催されている釜山国際映画祭もいよいよ今日と明日を残すのみになりました。皆さん、お目当ての映画は見られたでしょうか?俳優さんや監督さんには会えましたか?ナビも開幕式前から映画祭についてたくさんの準備と取材をしてきましたが、ついに日中合作映画『アバウト・ラブ/関於愛』の独占インタビューをこぎつけることが出来たんです!!プサンナビ始まって以来といっても過言ではない俳優、監督さんのインタビューを今日はお楽しみください。
映画「about love」
製作: 東宝./ムービーアイエンタテイメント/天津電影制片廠 
公開予定: 2005年春  
制作年: 2004年
アジアの3つの都市「東京・台北・上海」を舞台に紡がれる3つの出逢いの物語。留学生と現地に暮らす異性との出逢い、そして言葉が通じない人間同士の異文化コミュニケーションを共通のテーマにし、3つのストーリーで構成したひとつ普遍的なラブストーリー。「愛し合う」のではなく、ただ「愛する」ことに一途な人間の、国境を越えた、それぞれの"愛について=アバウト・ラブ/関於愛の物語。
<東京編>
監督:下山天
1966年、青森生まれ。高校時代より自主映画制作を始め、ミュージックビデオを多数演出。1997年「CUTE」や「イノセントワールド」を発表し、劇場用映画デビューを果たす。以降、2002年「弟切草」、2003年「マッスルヒート」などの監督を務める。
出演: 伊東美咲、チェン・ボーリン
内容:  3年心を通わせた相手の突然の音信不通。心が空っぽになってしまったアーティストの美智子(伊東美咲)。漫画の勉強にやってきたのに、何もかけずにいる台湾からの留学生ヤオ(チェン・ボーリン)。それぞれ空になった心を抱えながら渋谷の街を交差する2人。交わるはずのない2人の運命は、ヤオが泣いている美智子を見かけたことから静かに距離を縮めることになる・・・。
<台北編>
監督: イー・ツーイェン
1959年、台湾生まれ。UCLAで映画制作を学んだ後、CMディレクター、演出、脚本などを経て、1995年映画監督デビュー。2002年に製作された「藍色夏恋」でカンヌ映画祭を始め世界中の映画祭で高い評価を受けた監督。
出演: 加瀬亮、メイビス・ファン
内容: 彼に振られた事実が未だ飲み込めないアスー(メイビス・ファン)は、今日も夜中に本棚を作ることで気を紛らわす。バーで一度であった男の携帯番号を見つけたアスーは、その日本人の男・鉄(加瀬亮)に電話をする。真夜中のアスーからのSOSに応えた鉄は、本棚作りを手伝いながら、時代にアスーとじゃれ始める。そして2人の距離が限界まで近づいたとき、鉄はアスーを抱きしめ、キスをしようとする。しかし強烈な平手打ちと共に「あなたの体を借りて、彼を想っているだけ」と拒絶され・・・。
<上海編>
監督: チャン・イーバイ
1963年、中国生まれ。ミュージックビデオ100曲近くを演出した後、2002年監督デビューを果たす。中国で最も大学生に人気がある映画賞などを受賞する。イタリア・ウディネーゼ映画祭にも出品された。
出演: 塚本高史、リー・シャオルー
内容: 言葉を覚えるなら地元の人の目線で暮すのが一番と信じ、日本から留学し、雑貨屋の2階に住む修平(塚本高史)。2階の留学生・修平から日本にいる彼女の髪型を聞いて、同じようにパーマをかけた、高校を卒業して目下浪人中のユン(リー・シャオルー)。ある日、修平が日本語の書いてある紙を紙吹雪にして飛ばしたのを見ていたユンは、それを拾い集め「受験勉強」と称し、日本語の勉強を始める。そしてコトバの断片だった「夢」「逃げる」「バルセロナ」が、一つの意味を持ち始めたとき、ユンはある事実を悟る・・・。
さっそくインタビュー!
釜山国際映画祭に訪れたのは、台北編、上海編の監督を務めたイー・ツーイェン、チャン・イーバイ監督の両氏と台湾のキムタクと称される若手期待のチェン・ボーリンさん、そして日本からはCM、映画などで活躍する演技派若手俳優の加瀬亮さん。有名人とのインタビューということで、ナビはかなり緊張し、海雲台のマリオットホテルスウィートルームへ向かいました。ここで、俳優お二人をちょっとご紹介します。
加瀬亮
1974年、神奈川県生まれ。2000年、石井聰亙監督『五条霊戦記』でスクリーンデビュー。ユニークなCM、若手監督の話題作に次々と出演。主な出演作に、2001年 『みすゞ』(五十嵐匠監督)、2002年 『ロックンロールミシン』(行定勲監督)、2003年 『アカルイミライ』(黒沢清監督)、『壬生義士伝』(滝田洋二郎監督)、『カクト』(伊勢谷友介監督)など。2004年には、『アンテナ』に主演。その静かな佇まいながら鬼気迫る圧倒的な演技力で話題になる。その他、『キューティーハニー』(庵野秀明監督)、『69~sixty nine~』(李相日監督)、『茶の味』(石井克人監督)、『誰も知らない』(是枝裕和監督)、『ニワトリはハダシだ』(森崎東監督)などに出演。公開待機作には、『好きだ』(石川寛監督)、『パッチギ』(井筒和幸監督)などがある。
チェン・ボーリン
1983年、台北生まれ。2002年、映画『藍色夏恋(原題:藍色大門)』(イー・ツーイェン監督)で初主演しデビュー。カンヌ国際映画祭をはじめ、世界各国の映画祭で「新しい青春映画の傑作の誕生」として絶賛され、役者として高い評価を得た。2003年、日中合作映画『最後の恋,初めての恋』で渡部篤郎、中国新4大女優のひとり、シュー・ジンレイと共演。また、日本でも2004年7月より、JT(日本たばこ産業)の烏龍茶のCMやテレビ朝日系で放送された黄金伝説でココリコの遠藤章造と台湾でアイドルユニットを組むなど、その活動はアジア全域に亘っている。
ナビ:  釜山、また映画祭の印象はいかがですか?
チャン: 景色がきれい、空港についた時から映画祭のポスターがはってあって街全体で映画祭の雰囲気を出していて、熱気を感じましたね。
イー:  釜山には今回を含めて3回来ていますが、毎回違う印象を受けます。来る度に
映画祭の規模も大きくなっていて、進歩していることが感じられます。
加瀬:  ホテルの前と空港しか見ていないですが、外国という感じが全然しませんね。なんだか落ち着くし、心地よいです。
チェン: 韓国へは2度目です。以前映画のプロモーションでソウルへ行ったときには緊張感や生活のペースが速くて驚きましたが、釜山はのんびりしていて、気持ちがいいなぁと感じました。

ナビ:  映画を通じてどういったことを伝えたかったのですか?
イー:  文化の違い、言葉が通じないことよりも台北編はお互いを暖かく見守る、慰め合うといったテーマで作りました。
チャン: 最初のテーマは異文化コミュニケーションだったんですけど、撮影に臨んだら2つの違う国からきた男女の間に起きた小さい悲劇を表現してみたくなったんです。とても衝撃的なつらいことではなく、ごくごく日常にある当たり前のような小さい悲劇、そんな誰にでも起こるようなことを伝えたかった。
ナビ:  映画の中で言葉が通じないときに、ボディーランゲージや漢字でのやり取りがありましたが、そういった経験は今までにおありですか?
イ:   日本人の友人とコミューニケーションを取る時は、漢字を使ったりします。私は日本人に対して、親しみを感じています。なぜなら、街を歩いたりするとメニューや看板には漢字があり、とても親近感を感じることができるから。愛や恋愛を語る上でも口から出る言葉よりも手紙や文字がとても良い気がします。台北編の中でも口に表して言うとひどい言葉になるけど、文字で表すとすんなり意味が通じるのではないかと思いました。
チャン: イタリアのある映画祭に招待され、ヨーロッパのある空港でトランジットのために待ち時間がたくさんあり退屈をしていたとき、隣に同じ映画祭に出品されていた日本人の監督さんがいまして、そのときに漢字を使ってお互いコミュニケーションをとりました。アジアから遠いヨーロッパの空港で漢字でのコミューニケーションだなんて、とても温かい気分になりました。台北編を見たときに、内容よりもこういったコミュニケーションに意味があるかなと感じました。
チェン: 実は、去年香港と中国の合作映画の撮影で同じ中国語圏なのにコミュニケーションで大変苦労した経験がありました。広東語を話す香港人は台湾の北京語を話せない人が多くて、お互い何を伝えたいのかわからない状態でした。広東語も北京語も文法や漢字は同じだけど発音が違うんです。最後は、漢字を書いてスタッフや共演者とコミュニケーションをとりました。
加瀬:  そういう経験ありますね。恋愛でも相手を好きだったら文字にしろ絵にしろコミュニケーションの方法として使うと思いますよ。

ナビ: チェン・ボーリンさんが映画の中で日本語を学んでいるシーンがありましたが、実際のところ日本語はいかがですか?
チェン: そうですね。最近は香港映画の出演が多くて、広東語の勉強を中心にしていたんですが、これからは日本語も視野にいれて学んでいきたいなと思っています。
ナビ: 日本のファンの皆さんに一言メッセージを!
チャン: 見所がたくさんありまして、まず文化の違いの中で3つの都市で起きた物語なので、それぞれの文化の特徴がよく出ていると思います。日本の皆さんにも楽しく見てもらいたいです。
イー:  チャン監督と同じように思っています。それ以外には、世の中には愛とか恋愛とかたくさんあって、始まったりまた終わったりすること、例えば台北編の中でもあるようにすでに終わった恋愛かと思わせつつ、実はまだ終わっていないということだったり、私達がいつも生活している中でもいつも起きていることだったり、愛とはいつも不思議なことだなという視点から日本の皆様にも見て欲しいと思います。
加瀬:  本当にみた後、僕自身はとても優しくなれたんです。なのでただただ見て欲しいなということですね。

ナビ: チェン・ボーリンさんは以前、日本のテレビ番組「黄金伝説」で遠藤さんと台湾でアイドルユニットを結成され、日本のファンの方も多いと思いますが?
チェン: (笑)黄金伝説で日本の皆さんに知ってもらった印象は、ふざけているとか子供とかというイメージだったと思いますが、私は今映画の出演を始めて、誠実さということをいつも念頭において演技をしているので、これからはそういったところも見て欲しいなと思います。
~ここからは加瀬さん独占インタビュー~
ナビ:  加瀬さんが出演されている作品が5つ、今回の釜山国際映画祭に出品されていてミスター釜山国際映画祭といった印象を受けますが、どういう風に思われますか?
加瀬:  いえいえ、とんでもないですよ(笑)。前々から、釜山の映画ファンの皆さんは、温かいというかとても熱いと聞いて楽しみにしてきました。自分もイチ映画ファンなのでそういった意味でも釜山にくるのは楽しみにしていました。

ナビ:  この後、野外上映上で「about love」が上映されると思いますが、上映される予定のスクリーンを見られましたか?
加瀬:  いや、まだみてないんですけど・・・。

ナビ:  野外上映場にあるスクリーンていうのは、とても大きいんですね。そういった大スクリーンで加瀬さんが出演なさっている作品が上映されるお気持ちは?
加瀬:  やっぱり、映画は大きいスクリーンで上映されるのがいいですよね。前にベネチア映画祭にいったときもあまりの大きさのスクリーンに驚いて。映画的な絵とかってやっぱり日本の映画館サイズだとわかりにくし、本来映画の持っている映像の良さが出ないんじゃないかなと思います。

ナビ:  映画撮影中、大変だったこととかありますか?
加瀬:  あんまりないんですよ(笑)

ナビ:  言葉の壁とかはどうでしたか?
加瀬:  言葉は駄目でも身振り手振りでやると逆に楽しく出来たりとか。もし失敗しちゃったら、言葉ができないせいにしちゃったりとかね(笑)逆に凄く楽しかったし、自由にできましたねぇ。あんまり僕って演技中に楽しいとかって思わないんですけど、今回は楽しくできたなぁと思いました。

ナビ:  映画の中で印象に残っているシーンとかはありますか?
加瀬:  そうですねぇ~。最後の海辺からトンネルに入るシーンですね。最初に監督に会ったときに、監督と英語で話したりしていたんですが、理解できない部分とかをノートに漢字で表現していたんです。文字自体は忘れてしまったんですが、漢字をおっしゃったんですね。退く一歩みたいな意味の言葉で、その漢字を日本語的に訳すと一歩下がると空はより青く、広くとかいう意味だったんですよね。映画の撮影を通して、一歩下がるハッピーエンドもあるのかなぁと思いましたね。そういう監督との相性も良かったんですね。

ナビ:  加瀬さん、釜山に来られて、韓国料理とか食べましたか?
加瀬:  まだ、です。ホテルでコーラを買って飲んだだけです(笑)

ナビ:  じゃー、これから美味しいものたくさん食べて帰ってくださいね。
加瀬:  そうですねぇ。

ナビ:  ええと、これうちの会社の釜山のガイドマップなんですが、どうぞ!
加瀬:  おお!!ありがとうございます。(マップを開きながら)やっぱりオススメは肉ですか?

ナビ:  牛肉よりも豚肉の焼肉が美味しいのでオススメですよぉ。
加瀬:  そうなんですか。(と言いつつ真剣にガイドマップを眺めてくれていましたぁ!)

ナビ:  じゃー、最後にこれからの活動計画をお聞かせください。
加瀬:  んーやっぱり、今回の撮影がとても楽しかったので、自分も英語とかももっと勉強して、アジアの映画にも関わっていきたいなぁと思っています。

ナビ:  今ままでみた韓国映画などありますか?
加瀬:  はい、あります。あります。今年は、「オアシス」と「殺人の追憶」が良かったですね。特にソルギョングさんにお会いしてみたいなぁと思っています。良い役者だなぁと思いますね。あの、本当に韓国だけでなくアジアの映画が面白いので、関わっていきたいですね。少し前にウォンカーウェイ監督とお会いする機会がありまして、やはりアジアの映画は中国語、特に広東語ができないと話にならないとおっしゃってました。勉強しないとと思いました。

ナビ:  是非、韓国のスクリーンでも加瀬さんの活躍する姿を期待して待っていますので、今日は本当にありがとうございました。

イー・ツーイェン監督をイー、チャン・イーバイ監督をチャン、チェン・ボーリンさんを
チェン、加瀬亮さんを加瀬と省略しました。
俳優二人が海雲台ビーチを歩く
インタビューを前にナビ達の前に撮影を行っていた上海テレビさんの撮影にも参加させて
いただきました。海雲台ビーチを歩く加瀬亮さんとチェン・ボーリンさん、お二人とも決
まっていますね~。見ていたナビもここは映画の中の世界?!なんて勘違いしてしまうほ
どお二人が素敵で、やはり俳優さんはオーラが違いましたぁ~!
インタビュー取材ということでカチカチに緊張していったナビですが、俳優さん、監督さんともにとても優しくインタビューに答えてくださって、まさに夢のような仕事ができました。映画の方も、国と国の壁を越えたコミュニケーションでの繋がり、出逢い、すれ違いが表現されている物語で、国際結婚をしたナビはとても興味深く見ることが出来ました。来年の春公開の「about love」皆さんも注目してみてください。以上、プサンナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2004-10-14

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