慶州のおすすめコース~南山登山コース

磨崖仏を拝む、絶壁の石塔に触れる、聖地巡礼南山登山!

アンニョンハセヨ、K・F・Cです。慶州ナビの指令に従って、K・F・Cが慶州の観光地を踏破していく慶州エリアおすすめ観光コース第4弾。いよいよこれで完結編となります。1日目はレンタサイクルで市内の観光地を回り、2日目は循環バスで仏国寺(プルグッサ)、石窟庵(ソックラム)を観光しました。3日目は海まで出かけてズワイガニをたらふく食べています。そして4日目はなんと登山。最後の最後で体力勝負が待っていました。気を引き締めて、靴ヒモもぎゅぎゅっと締めて、K・F・Cのリポートです。
慶州ナビが仕掛けた密かなる罠
「K・F・C、昨日のズワイガニはどうだった?」
「うまかった。うまかった。最高だったー。」
「今日は何を食べようかねえ。」
「食べる。食べる。おいしいもの食べるー。」
「そうかあ。じゃあ昨日はカニだったから今日は肉にするか。」
「肉。肉。肉。肉。にくー。それは牛肉? 豚肉? 鶏肉?」
「あっはは。どれも違うよ。今日はなんと鴨肉だ!」
「鴨。鴨。鴨。鴨。かもー。食べたい。食べたい。食べたーい。」
「鴨の店はちょっと遠いんだけど大丈夫かなあ。」
「大丈夫。行く。行く。行く。どこまででも行くー。」
「ちょっと山を越えた遠いところだけどいい?」
「いい。いい。いい。鴨が食べられるなら、全然いいー。」
「よし、じゃあ今日は山登りだ!」
「おー!」
ズワイガニの感動で幼児退行したK・F・C。2頭身キャラになって慶州ナビに手を引かれます。山を越えて出かける鴨肉の店。期待あふれて満面の笑顔です。
さて、今日のテーマは南山(ナムサン)登山。慶州の南側にそびえるこの山は数多くの仏像が点在することで知られています。この南山に登るにはさまざまなルートがありますが、今回は三陵(サムヌン)から入って金鰲山(クモサン)に上り、反対側の統一殿(トンイルジョン)、書出池(ソチュルジ)方面に下りるルートを選択しました。南山のちょうど中央を西から東へと横断するコースです。
09:00 市外バスターミナルにてスタート
今日は山登りということで、食料の買出しから始めました。市外バスターミナルのすぐそばにあるLG25というコンビニでは、作りたてのキンパプ(韓国の海苔巻き)を買うことが出来ます。キンパプとミネラルウォーターを買って準備万端です。
09:05 バス乗車
市外バスターミナルにて500番バスに乗車。500番台のバスに乗るにはバスターミナルの建物を出て、横断歩道を渡らずに右手へ行きます。コーヒーの自動販売機を過ぎ、緑色の案内板のあるあたりにバスが並んで待っています。

09:23 三陵のバス停着(登山開始)
約20分ほどで三陵の入口へ到着。バスを降りたすぐ向かいが登山ルートの入口です。
09:27 三陵
歩き始めてすぐに三陵を発見。その名の通り3つの王陵が並んでいます。手前から新羅第8代の阿達羅(アダルラ)王、第53代の神徳(シンドッ)王、第54代の景明(キョンミョン)王の陵墓です。
三陵の横を通りすぎるといよいよ本格的な山道になってきました。観光地だからといって甘く考えていたら、これが大間違い。石ころだらけの本格的なゴツゴツ道です。木々に覆われている上、風も強く、11月上旬なのにかなりの寒さです。手袋を持ってきておいて大正解でした。
09:39 石造如来坐像
三陵渓谷から入って最初に出会う仏像がこの石造如来坐像。左肩から下がる法衣の彫刻が目を引きますが、頭と手の部分が破損しているのが残念です。
「おーい、K・F・C。ちょっと頭のところに首をのっけてみよう。」
ちょっと待て。それでいいのか慶州ナビ。そのかわりといっては何ですが、仏像の大きさをイメージしていただくために横に立ってみました。けっこう大きいでしょ。
09:43 磨崖観音菩薩像
石造如来坐像のところから左上に小道が伸びています。けっこう急な坂道ですが、ここを登っていくと崖に刻まれた観音菩薩像を見ることが出来ます。

09:53 磨崖線刻六尊仏像(休憩)
同じ道を降りて、石造如来坐像のところから再スタートです。10分ほど登ったところで、仏像の描かれた大きな岩を発見しました。前と後ろの岩に、それぞれ3体ずつの仏像が描かれています。この仏像は岩をくりぬいて作ったものではなく、絵を描くように彫刻されています。
磨崖線刻六尊仏像を過ぎてしばらく行くと分かれ道にぶつかりました。金鰲山までのルートはまっすぐのはずなのですが、矢印が左に伸びています。地図で確認をすると左の道は石仏坐像、磨崖線刻如来坐像という2つの仏像を見にいく道のようです。もとよりこの南山登山は頂上アタックに命をかけるものではありません。よりたくさんの仏像に出会うのが目的なので、迷わず寄り道ルートを選択です。
10:18 石仏坐像
少し細くなった道を快調にのぼっていくと、実に見事な仏様が座っていらっしゃいました。宝物第666号にも指定されている石仏坐像です。統一新羅時代後半の作と推定される貴重な仏像なのですが、残念ながら光背(仏像の背後につける後光を模した装飾)が破損したままとなっています。鼻の下からあごまでも欠落しており、セメントで修復がなされています。このセメントによる修復は批判も多く、むしろ手をつけなかったほうがよかったとの意見も多いようです。
10:26 磨崖線刻如来坐像
石仏坐像を過ぎてさらに行くと磨崖線刻如来坐像が現れます。自然に入った岩のヒビを活かし、下部を台座とみなして描かれています。三陵渓谷にある仏像の多くが新羅時代に作られているのに対し、この磨崖線刻如来坐像は高麗時代の作品と推定されています。
磨崖線刻如来坐像の手前にある絶景ポイントで記念撮影をしました。
「綺麗だねえ。これは寄り道して大正解だったねえ。」
「K・F・C、ちょっとあの一番先端まで行ってくれるかな。」
「え、あの崖のこと? えーと、わ、わたくし高所恐怖症なのですが……。」
「大丈夫、大丈夫。どうせ恐いの俺じゃないし。」
「…………。」
というやり取りがあって撮影したのがこの写真。いかにも気分よさそうですが、足はガクガク。ハラハラドキドキ。戻ってくるときはへっぴり腰です。落ちなくて本当によかった。みなさんは絶対に真似をしないでください。
10:57 上禅庵
上禅庵(サンソナム)に到着。この上禅庵は南山一円でもっとも高いところにある寺です。念仏が流れ、建物の中では信者の方が祈りを捧げていました。涌き水が流れていたので、少し喉を潤します。
11:09 磨崖釈迦如来坐像
上禅庵から少し上がったところにあるのが磨崖釈迦如来坐像。南山にある仏像の中では最も大きい仏像です。高さ5.2m、幅3.5m、蓮華台座4.2m。頭の部分だけが立体的に掘り抜かれ、首から下は線画で描かれています。この磨崖釈迦如来坐像にお参りするためには靴を脱いで上がらなければなりません。神聖な場所なので、その点はご注意ください。
11:42 金鰲山山頂
金鰲山の山頂に到着です。金鰲山の標高は468m。決して高い山とは言えませんが、スタートして2時間。なかなかの達成感がありました。
この金鰲山山頂からはルートが分かれます。案内板の出ている方向へ行くと、ぐるっと回って出発地の三陵に戻ります。K・F・Cが目指すのは、細い道が山肌を這うこちらのルートです。この道をしばらく行くと南山横断道路に合流。横断道路を左に行くと展望台をから鮑石亭(ポソッチョン)へと続きます。
12:03 茸長寺址三層石塔(休憩)
茸長谷(ヤンジャンゴル)という案内板が出たところでまたルートを外れ、右手の小道を下りていきます。途中道を見失いかけたりもするちょっと危険な下り坂ではありますが、この先に行くと断崖絶壁に立つ三層石塔が見られます。
「K・F・C、ちょうどお昼どきだし、ここで休憩にしよう。」
ということで買って来たキンパプをつまみます。そうそう、ゆで卵も買っておいたんだっけ。やっぱり山の上で食べるキンパプは最高ですね。うまいうまいと食べていると、それを見た慶州ナビがひとこと。
「あんまりたくさん食べると鴨肉が食べられなくなるよ。」
「そ、そうだった……。」

再び南山横断道路まで戻って歩き始めました。もう下りなのでずんずんと進んでいきます。この案内板のところが分岐点。道なりに進めば統一殿、書出池方面に下りられます。案内板の示す方向へ行くと七仏庵(チルプラム)をぐるっと経由して、やはり統一殿、書出池方面に下りるルートになります。
13:30 登山終了
涌き水の出ている休憩所を過ぎ、なだらかな下りを快調に飛ばしていくと、道路がアスファルトに変わりました。1本道を突き進んで、T字路にぶつかったらここで登山はおしまい。スタートから約4時間のコースでした。
13:40 食事
さあ、さあ、さあ、さあ。待ちに待った食事の時間です。
「K・F・C、4日間お疲れさん。今日は俺のオゴリだから遠慮なく食ってくれ。」
「食べる食べる食べる食べるー。鴨肉食べるー。」
「鴨肉のプルコギにパジョンとドンドンジュもつけよう。」
「うひゃっほ、うひゃっほ、うひゃっほう!」
すでに幼児化しているのか野生化しているのかもよくわかりませんが、ともかく至福の時間がやってまいりました。オリプルコギ(鴨肉のプルコギ)、パジョン(ネギのチヂミ)、ドンドンジュ(濁り酒)。もう気絶してしまいそうなくらい幸せなラインナップです。
鉄板の上に鴨肉、ニラ、タマネギ、ヒラタケ、サツマイモがどちゃあっと投入されました。特製のタレで味付けられた真っ赤な鴨肉は、見るからに食欲をそそります。しばらくすると鴨肉から金色の脂がじわじわと染み出てきました。じゅわじゅわじゅわじゅわ音をたてて焼けていきます。適当に焼けたところで全体を手際よくかき混ぜ、もう1度中までじっくり火を通したら出来あがり。さて、よーいどん!

鴨肉のプルコギです。サンチュとゴマの葉で巻きニラを加えます。ぐるっと巻いて、ガブリと食べる。鴨肉の野趣あふれる脂が口の中にとろりと流れ出して……。うわ、こりゃあうまいっ!
続いてお疲れさまの1杯なんかもしちゃいましょうかね。ドンドンジュを器に入れて、ぐびりと飲んじゃったりなんかしちゃったら、もうもうもう。ぷっは、うっはー。
さて、パジョンが焼けてきました。ばくっと食べて……って皿ごと食べてどないすんねん。そうそう、ハシで食べやすい大きさに切って、醤油につけて、はい食べる。おほっ、アツアツ!
デザートにはおばちゃんが柿をむいてくれました。柔らかくて、あまーいこの柿はなんとサービスとのこと。おばちゃん、ありがとねー。
16:30 出発
たっぷり食べて、たっぷり飲んで。いい感じの酔っ払いです。T字路を左へ千鳥足で歩いていくと書出池に出ました。書出池は新羅の王様を救った1通の手紙伝説が残る池です。その先の統一殿は新羅の三国統一を果した英雄を奉った場所。この2ヶ所を少しだけ見学し、帰りのバス停に向かいました。
17:00 バス停着
「いやあ、わざわざ山登りしてきた甲斐があったねえ。」
「そう? K・F・Cが喜んでくれたなら俺も嬉しいよ。」
「で、ここからはどうやって帰ったらいいのかな?」
「えーとね。統一殿の前からバスが出てる。」
「バス? バスがあるの?」
「うん。10番バスに乗ったら20分くらいで市街地に着くよ。」
「じゃ、じゃあ、わざわざ登山なんかしなくたって、バスで来れば鴨肉食べられたじゃん。」
「まあ、そういうことになるかな。」
「…………。」
「いや、おかげでいい取材が出来たよ。」
「ま、また、あたしを利用したのね。きいっ!」
「利用したなんて人聞き悪い。4日間協力してくれてありがとさん。」
「ひどいわ、ひどいわ、ひどいわ。きいっ!」
17:24 バスターミナル着(終了)
市外バスターミナルに到着しました。これにて南山登山は終了です。朝9時にスタートして1日がかりのスケジュールになりましたが、登山の行程だけなら実質4時間のルートです。今回はそこに食事を付け加えて観光コースに組みたててみました。南山の登山にはいくつかのルートがあります。2時間程度の軽いコースから7時間くらいの長距離コースまで。登山歴や体力、日程などに合わせてコースを選定してみてください。
これにて慶州エリアおすすめ観光コースは終了です。K・F・Cが体験リポートした4日間。たった4日間ではありましたが、とても濃密な時間を過ごせたように思います。本文中では好き勝手に書きましたが、コースを組みたててくれた慶州ナビには感謝をしています。おかげでとても楽しい経験ができました。慶州には魅力的な観光地がたくさんあります。この慶州エリアおすすめ観光コースが、これから慶州をご旅行なさる方々のためとなれば幸いです。以上、K・F・Cでした。
三陵渓谷~金鰲山~統一殿ルートの文化財
慶州南山一円
 史跡第311号
三陵  史跡第219号
三陵渓谷磨崖観音菩薩像  慶尚北道有形文化財第19号
三陵渓谷磨崖線刻六尊仏像  慶尚北道有形文化財第21号
三陵渓谷石仏坐像  宝物第666号
三陵渓谷磨崖線刻如来坐像  慶尚北道有形文化財第159号
茸長寺址三層石塔  宝物第186号
南山洞三層石塔  宝物第124号
書出池  史跡第138号


関連タグ:八田靖史

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-12-13

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