釜山生活★めまんちゃの視点・第6回「韓国のお墓参り ~秋の山の幸と共に~」

第6回「韓国のお墓参り ~秋の山の幸と共に~」

こんにちは!皆さんは、日本でお墓参りはいつ行きますか? 私は日本に住んでいたころは8月15日前後にお供えする食べ物少々とお花、墓石を掃除するたわしと布を持って墓参りに行っていました。韓国にお嫁に来て数年経ちましたが、韓国式のお墓参りは、結婚当初から旧盆と旧正月に1年に2回行っています。こちらのお墓参りは、日本のとはかなり違います。韓国へ仕事や旅行で来たら、結婚式は時々見かけるかもしれませんが、お墓参りは釜山に住んでいても親戚またはお墓参りについて行かせてくれる友人がいないと、実際に見ることはほとんどできないと思います。そこで、今回は韓国のお墓参りについてリポートしたいと思います。

韓国では人が亡くなると、山の斜面を少し切り開き土葬する習慣があります。この土葬は韓国人によると儒教の影響だそうです。しかし、現代では宗教が多様化し、火葬する場合もあるようです。(土葬の場合でも、土葬する山がない都市部では、火葬しコインロッカーのような形をした共同墓地にお墓を作る場合もあるようです)。お墓参りは、お墓にいく当日だけではありません。お墓参りの1週間前に山へ行ってお墓の周りに生えた雑草を刈ってきれいに掃除をしておきます。そして、お墓参りの当日は、家族や親戚とお供え物を持ってお墓参りに行きます。私の嫁ぎ先では、お墓参りの準備はいつも義母がします。今回持っていったのは「焼酎1本」「梨1個」「りんご1個」「紙コップ数個」「自家製ソンピョン約10個」「みかん3,4個」「おはし1,2膳」「果物ナイフ」「小さいレジャーシート」でした。
義理の両親の家から車で40分ほどいくと、義父の両親のお墓があります。韓国では、お嫁に行くと実家のお墓参りにはいかないものだそうです。そのため、義母の両親のお墓参りには行きません。義父の両親のお墓は、自然がいっぱいの山の斜面にあります。すぐ近くには田んぼ、川、なつめの木、牛舎などがあります。
お墓に着くと、まずレジャーシートを取り出して敷きます。そして果物ナイフを取り出し梨とりんごの上の部分だけを切り取ります。(写真1参照)そして焼酎を紙コップに注ぎます。そのあと、親戚一同はお墓の前に一列に並び、「お父さん、家族が来ましたよ」などと挨拶をしてから、韓国式の挨拶をします。この挨拶は、男性と女性でやり方が異なります。男性は両膝と両手を地につけて頭をさげます。一方、女性はあぐらをかいた状態で両手を目の高さで水平に重ね合わせ、頭をさげます。この韓国式の挨拶は、1度にする回数が決まっており、亡くなった人には2回、生きている人には1回だそうです。この挨拶が終わると、焼酎をお墓にかけます。そしてお供え物の梨やりんご、みかん、ソンピョンをみんなで食べます。これでお墓参りは終わりで、その後は家に帰ったり、親戚の家に集まったりして旧盆(旧正月)を楽しみます。
数回のお墓参りを通して私が気がついたことは、通常山の斜面にあるお墓は、少しずつデザイン(?)というか外見に違いがあるということです。あるお墓は、ただ山の斜面がふっくらと山のように盛り上がっており、誰かに教えられるまでは「これがお墓?!」と思うくらいです。そうかと思うと、盛り上がった土の周りを石で囲んだり、お墓の前に石の小さいテーブルがあり、亡くなった方の名前らしきことが漢字で書いてあったりします。そのお墓の片側(または両脇)に石の塔のようなものがある場合もあります。このお墓のデザインの差はどんな差なのかはわかりませんが、ただ山の斜面をふっくらと盛り上がらせただけのお墓の場合は、何十年も経つと雨風にさらされて少しずつ高さが低くなっていくそうです。しかし、だからといって親族が自由にその上から土を盛ることはできないそうで「土を追加で盛る日」のようなものがあるそうです。
そして、お墓参りに行くと秋の山の味覚にも出会えます。お墓がある山の近くに栗林があって、栗が地面に落ちていたり、柿の木があって木になっている実が熟して落ちそうになっていたり、雑草に混じって、さりげなくかぼちゃが蔓をのばし、ふとみると日本では見られないようなバスケットボール大のかぼちゃがなっているのを発見して驚いたりします。
「韓国のお墓参り」、いかがでしたでしょうか。韓国に親戚や友人がいない方は、韓国に旅行にいらっしゃった時に、もしKTXに乗る機会があったら山の斜面をみてみてください。きっとこの記事で紹介したようなお墓が何箇所か見つかると思います。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-09-26

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