SANAの釜山特派員レポート・第3回「Asian Film Academyであなたのイマジネーションを形にしよう!!」

第3回「Asian Film Academyであなたのイマジネーションを形にしよう!!」

1.AFAとは?

Asian Film Academy (以下、AFA)は、東西大学と韓国映画振興委員会(KAFA)、そして釜山国際映画祭によって構成され、今年で3回目を迎えました。このプログラムには、アジアの有名な映画監督と撮影監督を教授陣として迎えて、アジアの若手映画制作者(以下、フェロー)と共にアジア映画の将来に備えるというのが目的です。日本からも2006年には高間賢治さん(2006年「デスノート」)、そして今年は栗田豊通さん(1999年「御法度」)が撮影監督の教授として迎えられました。
AFAはアカデミーという名前の通り、ワークショップや実践的な短編映画の撮影を通して、技術の向上や情報の交換を目的としています。でもやっぱりAFAの最大の内容は、実際の現場に出て撮影をすることです!!若手映画制作者と言っても、本国では結構有名なフェローもいたり、現場で10年以上も仕事してるフェローも多いので、撮影に入るとみんな,まさに水を得た魚のように、生き生きとしています。

2.プログラムの内容

AFAのプログラム内容は大きく分けて以下のように構成されています。
短編映画の製作:フェローがそれぞれ提出したシナリオからひとつが選抜され、そのシナリオに基づき短編映画を作って行きます。
ワークショップ:HDカメラの技術指導と演出・撮影・サウンド・編集についてのワークショップ。
演出・撮影ワークショップ:撮影監督の教授陣の先生方が、演出と撮影に対する新しいアイディアと技術を教えてくれます。
ディーンによるマスタークラス:AFAのディーン(校長)によるマスタークラス。2007年は最高の監督で、最高の教育者でもあるモフセン・マフマルバフ監督が、マフマルバフ家の映画に対する考えや経験など、貴重な講話を聴くことができます。
討論 :教授陣とフェローが「アジア映画制作者としてのアイデンティティー」について討論します。
フェローの作品試写:約5倍の倍率を潜り抜けて来たフェローたちの製作した作品を選抜し、鑑賞します。
指導教授の作品試写:指導教授たちの代表作を鑑賞・分析し、アジアを代表する指導教授たちの映画観について深く掘り下げて理解します。
個別面談 : フェローと指導教授たちが一対一で個人的に指導と面談をうけることができます。

3.なんといってもメインは撮影!!

毎年、25名程度の学生が集められるフェローはAチームとBチームに分かれ、それぞれみんなが持ち寄った中からひとつのシナリオを選んで10分の短編映画を作成します。10分の映画を撮るために3日間の撮影期間が取られています。映画の製作についてまったく知識のなかった私は初め、「え??そんなにかかるの??」という感じでした。でもそれでもスケジュールは毎年、足りないそうです。スタッフの方曰く、撮影に出る3日間は寝られないとか。現場では眠そうな(というか、実際寝ている)フェローもたくさんいました。
映画の撮影といえば、カメラや照明のセッティングがメインと思いがちですが、その裏では食事のデリバリーをしたり、掃除をしたりする製作部の努力が常にあるのです。スタッフにとっても、フェローにとってもキツい3日間ですが、撮影がすべて終わったときの達成感と開放感は、AFAの醍醐味です!!
撮影は睡魔との戦いですありますが、それぞれが本気で大好きな映画を撮っているため、現場の雰囲気はピリピリしています。常に天候と時間との戦い。まさに一分一秒を争うといった感じでした。フェローたちが議論しながら撮影は進み、その間に教授陣から技術的なアドバイスをうけることができます。
8日に台湾の有名な映画監督でAFA2005のディーンだったホー・シャオ・シェン監督の「Flight of the red balloon」を見ました。その映画の中に出てくる留学生の役をしている女の子はなんと、AFA2005のフェローの一人だったそうです!!AFAでの出会いはそこに関わる人たちすべてに大きな影響を与えているような気がします。

感想

AFAは海雲台から少し離れたところにあるユースホステルで3週間泊り込みで行われます。PIFFの喧騒から少し離れていて、地味な印象もありますが、その狭い空間のなかで、東は日本から西は中東アジアまで、さまざまな国からやってきた若者たちが交流を持つことの、すごいさを感じました。アジア凝縮。ここでの出会いを大切に、互いに切磋琢磨し、アジア映画をもっともっと盛り上げてほしいなと思いました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-10-12

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