ゴンギツネのサッカー観戦レポート・第4回「6月2日 スペインvsスロベニア(光州ワールドカップ競技場)」

そして愛するラウルくんのもとへ……

"そして愛するラウルくんのもとへ……"

今回はソウルから電車で4時間かけて光州まで行ってきました。飛行機だったらあっという間の1時間だけど、宿のことを考えるとやっぱり駅が一番。というわけでほとんど寝ていたけど、腰痛持ちの体に鞭を打って電車に揺られつづけました。
光州と言えば、日本でいったら光州事件で有名なところです。今は光州ビエンナーレって言う芸術祭が行われているんだけど、時間があれば見たいと思いつつも、いつもながらそんな余裕はまったくなし。相変わらずサッカーがすべての地方めぐりです。
このスペインvsスロベニアのチケットは最後まで買うかどうか迷った試合です。もちろんマッチメイクとしては愛するラウルくんがいるスペインとEURO2000のユーゴスラビア戦のザホビッチがめちゃくちゃ印象的だったスロベニアだけどスタジアムがね…。
以前このスタジアムで観戦したとき、カテゴリー2のチケットだったにも関わらずなぜかゴール裏。しかもサッカー専用スタジアムとはいうものの、ピッチとスタンドがかなり遠い上にスタンドの傾斜がとっても甘いのでまったく試合が見れない状況で、かなり憤っていたんです。でも、結局はこのマッチメイクの魅力に負けてしまい買ってしまったのです。
駅から無料のシャトルバスが出ていたので、今回もそれを利用しました。バスは17時からの運行だったので、その前にモーテルでアルゼンチンvsナイジェリア戦の中継を見て緊張感を高め、そしてお食事。
友達に光州出身の人がいて以前会ったときに「アヒル」の話題が出ていたんです。それに観光地図でも「オリタン街(アヒルのスープ街)ってあったし、アヒルって北京ダック以外は食べたことがなかったので一度食べてみたかったんですよね。というわけで駅前の食堂で挑戦してきました。食べた感想は別にまずくはなかったって感じです。多分肉自体に匂いがあるのか、ポシンタン同様香辛料(辛くない)・香菜がたっぷり入っていました。専門店で食べればきっともっとおいしいんでしょうね。
腹ごしらえも充分にいよいよスタジアムに向けて出発!シャトルバスの中はスロベニアのサポーターも乗り合わせていて、陽気に歌なんかうたっちゃってました。バスの車窓からも、通りの店でビールを飲んでいるサポーターの姿も。なかなか今日の試合はサポータを見るだけで楽しくなりそう。去年の12月以来に到着した光州ワールドカップ競技場です。はやめに到着することが信条の私だけに、この日も3時間ぐらい前に到着。さすがにサポーターの姿もまばらって感じでした。でも、その中でひときわ目を引いたのが、やっぱりスロベニアサポーター。髪の毛が緑の人や緑と白に顔を塗り替えている人もいたりして、気合が違います。そして、さらに目を引いたのが山の形のとさかをつけた帽子。これがまたすっごい変っていうか、かわいいっていうか、みんなでかぶっているとホント緑色のウルトラマン。なんかめちゃくちゃ欲しくなっちゃう私って、変でしょうか?
スペイン人のサポーターは予想通りあんまり多くなくて、逆にスペインのユニフォームを着た日本人のほうが目立つ感じでした。「スペイン人はやっぱり代表よりクラブのほうが大事」ということなんでしょうね。
今回の私のチケットはカテゴリー3だったのでゴール裏を覚悟していたんだけど、できればスペイン側だったらいいな…、まあスロベニア側でも、それはしょうがない、とにかく見れるならいいやって思ってたんです。それで中に入ろうと、入り口まで行ったらアジュンマが「一人?じゃ、このチケットカテゴリー2だからいいでしょ、子供がいるから代わって」と声かけられたんです。私としては差額分を払う必要もなくよい席で見れるなんて願ってもいないことなので即決で交換しちゃいました。すごいラッキー!
よく見るとチケットの所有者の欄には「文化観光部」の文字が!!やっぱりかなりの枚数が行政とかから流れているんだな……と実感したんですけど、こっちに来てからチケットに関してかなりついている私。あまりそんな細かいことに気を使うと日本に帰ったらどんな不幸が待っているのか考えるだけで怖いのであまり考えずにしときます。というわけで2階席で見ることに。やっぱり2階から見るとグラウンド全体が見渡せて壮観!これで愛するラウルくんの動きもばっちりです。
試合前スペイン・スロベニア両チームが登場して、ますますスロベニアサポーターの応援もヒートアップ、そして私の心もかなりざわついてきました。もう冷静にサッカーを見れる状況ではありません。警備のアジョシに文句を言われようが、しっかり愛するラウルくんの姿を写真に収め、大満足です。
そして試合開始。やっぱりFIFAのチケット問題のせいか、この試合もブロック単位で空席が目立っていました。うーん、こんないいマッチメイクを見ないなんて、かなりもったいないなと思いつつ、私は試合に集中します。とにかく冷静には見られません。いつもだったら席でおとなしく見ているほうだけど、今日のスペイン代表、特にラウルくんに関してはまったく別の次元です。シュートが外れるたびに、チャンスが訪れるたびに一喜一憂、声が涸れてしまいました。試合は圧倒的にスペインペースで進んでいたんだけど、ついに前半終了間際に愛するラウルくんの先制ゴール!!!
そしていつものようにゴールが決まった後のポーズをなんと私側のコーナーで行ってくれるじゃありませんか。もう感きわまって泣きそうです。そして後半に入ってジダン2世といわれているバレロンのゴーール!! ゴールが決まる前から立ち上がってしまい、決まった瞬間はもちろん騒いでいたんですけど、そのときには周りの韓国人もかなりスロベニアの応援に感化されていて、ほぼスロベニアファンと化している中での絶叫で、かなり引かれていました(特に隣に座っていたアジュンマには……)いいんです、別に。もうそんなことには慣れっこです。そんなことにはお構いなしに叫んでしまいました。あとはスペインの勝利を祈るだけなんだけど、思い出すのは98年フランス大会です。あの時も私は裏優勝候補としてスペインを押していたんだけど、ナイジェリア戦。これで勝つ!と思っていた矢先に同点・逆転をくらい、かなりへこんだ経験からどうなるんだろう………と思っていたらやっぱりスロベニアに決められ2−1になっちゃいました。私の周りの韓国人はもちろん、ゴール裏のスロベニアサポーターも大騒ぎになっている中、私は静かに祈るだけ。なんかそんな中でサッカーを見ていると本当にワールドカップの試合を見ているんだっていうことを実感しました。
2−1になった時点でスロベニアが勢いづいてスペインがダメになっちゃうんじゃないかと思ったけど、終了間際にPKで追加点を決めてこれでスペインの勝利が確実になりました。周りはブーイングの嵐でしたけどね。
試合は3−1でスペインが勝ち。応援は圧倒的にスロベニアの勝利でした。ああいう風に熱狂的に自分の国を応援できることをうらやましくも思いつつも、それができない自分がいるけどこうしてサッカーを楽しんでいる自分が一番好きです。というよりそれしかないって言ったほうが正しいかもしれないけど・・・・そして今またスペインの試合を見たいと思ってしまっている私でした。
To be continued(Worte:ゴンギツネ)

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記事登録日:2002-06-02

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