コムジャンオ

곰장어/꼼장어/ぬたうなぎ。見た目と味は別のもの?釜山人の友!


コムジャンオは釜山の人に言わせれば、日常的で馴染みの深い食べ物。

コムジャンオとは?

コムジャンオは釜山市機張郡沿岸から、対馬海峡、日本海沿岸を産地にする、メクラウナギ科の魚類です。全体的にピンク色がかかり、ウナギのように長い胴体が特徴的。そして、目は退化して陥没し、顎のない口から伸びる6本の触覚が実にインパクトある表情を作り出しています。体に触れると身を守るために強烈な粘液を出すので、漁師や釣り人には、網や糸を汚す存在として大変嫌われているようです。ちなみに日本ではヌタウナギやメクラウナギなどとも呼ばれていていますが、食卓で見かけることはほとんどありません。

何かSF映画にも出てきそうな顔

何かSF映画にも出てきそうな顔

釜山でよく見かける水槽に入ったコムジャンオ

釜山でよく見かける水槽に入ったコムジャンオ

コムジャンオの由来

昔から釜山の機張で有名なのは、ワカメ、太刀魚、カタクチイワシ、そしてコムジャンオでした。特産物は君主に献上するのが慣例でしたが、コムジャンオだけはその特異な見た目が受け入れられず、下賎の食べ物として避けられていました。そんなコムジャンオも庶民の間では貴重なタンパク源として重宝されて、何匹か焼いて食べれば飢えを知らないとまでいわれていたそうです。当時、山で農業をしていた人が、麦わらや松の葉で、コムチャンを焼いて食べていた料理方法が現在も機張地方に残っています。

チャガルチのコムジャンオ通り

チャガルチのコムジャンオ通り

その後、釜山都市部でも1910年代から食べられるようになり、食料事情が悪かったときの栄養食となった1940年代を経て、1960年代には酒のつまみとしても全盛期を迎えました。現在はチャガルチ市場や、釜田市場にコムジャンオ通りがあります。また釜山の飲み系屋台では必ず見かけるほど庶民の間に浸透しています。ただし富裕層やソウルなど首都圏の人々には、その特異な見た目が受け入れられない傾向が現在までも続いているとか。

参考資料>

コムジャンオの栄養価
コムジャンオの栄養成分表(100gあたり) 
カロリー(kcal) 135
水分(%) 72
タンパク質(g) 20.8
脂質(g) 4.7
糖質(g) 1
灰分(g) 1.5
カルシウム(mg) 16
リン(mg)143
鉄分(mg) 3.1
ナトリウム(mg) 2840
カリウム(mg) 1042
 
釜慶大学食品工学科キムサンエ教授調査

コムジャンオの料理法

それではコムジャンオがどのように料理されるのか見ていきましょう。

藁焼き
機張コムチャンの醍醐味とも呼べる、野趣あふれるわら焼き。よく乾燥して燃えやすくなった藁の中に、コムジャンオを入れて一気に焼き上げます。真っ黒に焦げた姿が見た目には強烈ですが、皮をずらすと、意外にもスルリと抜けてホクホクな白い身が現れます。この手軽さが重宝されて、山で働く人々には欠かせないものになったそうです。食べるときはごま油に塩を入れると、コムジャンオ本来の風味が引き立って、ファンにはたまらない逸品になるのだとか。
松葉焼き
藁を松葉に変えたもの、乾いた松葉にくべて焼き上げるのは同じですが、松からでる芳ばしい香りが、コムジャンオ独特のクセを和らげてくれます。
コムジャンオ炒め
コチュジャンベースのソースに絡めて炒め煮する料理。コチュジャンの強さとニンニクの匂いが、コムジャンオのクセを抑えて食べやすくしています。釜山の市街地で見かける、コムジャンオはこのスタイルが多いようです。。
練炭焼き
チャガルチ市場を周辺に発祥した、屋台型のスタイル。捌いたコムジャンオをある程度調理した後に、練炭の上にアルミホイルを敷いて焼いて食べます。最後にご飯を加えて焼き飯にして食べるのがおススメ。
日本人には食べ慣れず、見慣れないコムジャンオですが、食べてみると意外に美味しいという方も多いんです。見た目で敬遠せず、一度トライしてみてはいかがでしょうか?そして、コムジャンオの溢れる栄養価が、旅の疲れを回復するのに一役買ってくれるかもしれません。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2000-05-14

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