パッチュク(冬至)

冬至の日にはアズキ粥を食べて病気の鬼神をぶっとばせ!

アンニョンハセヨ、プサンナビです。2002年12月22日は冬至です。冬至とは1年で一番夜の長い日。日本では柚子湯に入ったり、カボチャを食べたりする日としても知られています。こうした冬至の風習は韓国にもあり、韓国ではパッチュッと呼ばれるアズキ粥を食べます。冬至にアズキ粥を食べる風習自体は中国から来たもので、日本でも見られます。カボチャと一緒にアズキを炊いた料理も冬至料理のひとつです。

パッチュッこんな料理です
アズキ粥というよりは、むしろぜんざいに近い料理です。柔らかくなるまでコトコトと煮たアズキを裏漉しし、もち米などを加えて作ります。最後に餅や白玉を乗せてできあがり。日本のぜんざいに比べ、甘さが少ないのが特徴です。
パッチュッこんなところで食べられます
釜山でパッチュッを食べるのなら、国際市場のB&C通りに行ってみましょう。日本語でぜんざいと書かれた看板を掲げた露店が出ており、1杯2000ウォンで食べられます。
またスーパーなどに行くとインスタントのパッチュッが売られています。こちらはひとつ1200ウォン程度。お土産などにいかがでしょうか。

冬至の日にパッチュッを食べる理由
冬至の日にパッチュッを食べる理由は陰陽五行の考え方に基づいています。冬至の日とは1年の中でもっとも夜が長く、昼の短い日。すなわち1年でもっとも陰の気が強い日と考えられています。こうした陰の気が強い日には病気を司る鬼神が横行するため、病気にならないよう対策をとらねばなりません。陰の気を強く纏う鬼神を追い払うためには、逆に陽の気が強いものを摂取する必要があります。アズキに代表される赤い色は陽の気を持つと考えられており、病気予防のため冬至の日にはアズキを粥にして食べるのです。

こんなに古いアズキ粥の歴史
アズキ粥の歴史をさかのぼると6世紀の中国で書かれた『荊楚歳時記』という本に行き当たります。この本は荊州の役人職にあった宗懍という人物が、揚子江中流域を中心とした荊楚地方の年中歳時記について書いたものです。この本には「共工氏の息子が冬至の日に亡くなり疫鬼となった。彼が赤豆を恐がったため、冬至の日にはアズキ粥を作って疫を払うようになった」と書かれています。この風習が韓国、日本へと伝わり、現代まで残ったのです。

韓国では1849年に洪錫謨が書いた『東国歳時記』という本に、アズキ粥の記述があります。ここにはアズキ粥を季節料理として食べるほか、供え物としたり、家の門扉にまいて災難を払うということが書かれています。

他にもあります鬼神撃退食品

<唐辛子>
赤い、辛いという鬼神が嫌う2大要素を持った唐辛子は、鬼神を追い払うための代表的な食品です。韓国ではかつて子供が生まれたときに禁縄(クムジュル)というしめ縄を家の前にめぐらせました。この縄をなうときに間に組み込まれるのが唐辛子です。唐辛子が生まれたばかりの子供を病気から守ってくれます。また醤油の甕などに唐辛子を浮かべることもあり、これには鬼神の好物である醤油を守るという意味があります。
<ポシンタン>
ポシンタンは犬肉を使った鍋料理です。韓国には三伏という日があり、1年で最も暑い時期だとされます。日本で土用の丑の日にウナギを食べるように、韓国では三伏にポシンタンを食べます。真夏の暑い時期は体力が落ちやすく、また夏風邪など体調を崩しやすい時期でもあります。昔の民間信仰から見ると、鬼神の取り憑きやすい時期だといえます。犬肉も鬼神を防ぐ食品だと考えられており、夏にポシンタンを食べる風習は病気の予防でもあるのです。
<アズキ餅>
子供が生まれてから100日目をペギル、1年目をトルといって、韓国では盛大なお祝いをします。このときお祝いの膳に上げられる料理のひとつにアズキ餅があります。モチキビをこねアズキの粉をふったモチをススパットッといいますが、これには子供が健康に育つようにとの意味が込められています。キビとアズキが鬼神を防ぐ役割を果すと考えられるためで、子供の通過儀礼には欠かせない食品となっています。
韓国にはモメチョッタという言葉があります。モメチョッタを直訳すると身体によいという意味です。身体によい、健康によいという言葉を韓国の人たちは好みます。1年を通した歳時風俗にもそれがよく現れており、小正月の朝にクルミなどの堅いものを食べると皮膚病にならないなど、現代にもまだまだそういった風習が残っています。これからますます寒くなっていく釜山の冬。風邪を引いたりしないためにも、パッチュッを試してみてはいかがでしょう。以上、プサンナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-12-20

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