甘草茶

不思議な甘さがあなたをとりこに…

アンニョンハセヨ、プサンナビです。このコーナーでは皆さんに韓国のお茶をご紹介していきたいと思います。韓国の茶は大まかに、「お茶の木から作られるもの」、そして「お茶の木以外のものから作られるもの」の二つに区分できます。「お茶の木以外のものから作られるもの」というのは、日本人の間でもおなじみの麦茶、柚子茶、生姜茶、ナツメ茶などのことで、よく「代用茶」という呼ばれ方もします。このコーナーではお茶の木から作られるものも、代用茶も扱っていきたいと思います。
第1弾 今日の主役は甘草
見た目は苦め、味は甘め。しかも、体にとっても良いんです。 
さて第1弾の今回はどんなお茶かというと、甘草(カンチョ)茶。甘草は日本では「カンゾウ」と言う名前で知られている薬草。見た目はかなり苦そうです。でもこいつがなかなか甘いんです。しかも、効能があるわ、あるわ。甘草は漢方では極めて重要な生薬で、処方の7割に配合され、現在では醤油、タバコ、お菓子などの甘味料としても利用されています。甘草の主要な効能は以下の通りです。
・急激な痛み(のどの痛み、腹痛)を和らげる
・息苦しさの防止
・解毒作用
・胃潰瘍などを改善
・神経痛の鎮痛
・ 抗ストレス作用
・新陳代謝を円滑にする

しかも甘草にまつわる話は切りがありません。
・ 主成分のグリチルリチンの甘さは砂糖の約150倍!!
・ 医学書『ヒポクラテス全集』(紀元前5世紀)にその名が出ている!!
・ 中国最古の医薬書『神農本草経』(500年頃)ではあらゆる薬の中心とされている!!
・ ツタンカーメンの墓から甘草が発見!!
・ナポレオンも健康のために甘草を噛んでいた!!
・ ユンケルにも入ってる!!
などなど。いやいや、恐れ入りました。

甘草茶を飲んで見よう!!
では、このお茶をいただきましょう。どこでかと言うと、ナンポドン(南浦洞)のオシャレなお茶屋さん、「素花房」で。このお茶屋さん、雰囲気がとても素敵。入ったとたんお茶の香り、そして渋い音楽、日本語がお上手で美的感覚最高のご主人が迎えてくれます。韓国にはお茶屋さんがたくさんありますが、メニューに甘草茶があるお店はあまりないようです。お味のほうはというと、甘いんです。強い甘さではなくて、あとから伝わってくるやさしい甘さです。
取材中に素花房で会った日本人観光客の方。こちらでお茶を飲みながらゆっくりくつろいでいらっしゃしました。
何を注文したのかな?菊花茶と、そして今日の主役の甘草茶!!
甘草茶のお味は?
「甘くて、とっても不思議な味。くせになりそう」
ちなみに、菊花茶のお味は?
「香りが楽しめて、やさしい味。」(菊花茶もこのコーナーで扱いたいなあ。)

素花房のアルバイトのお姉さんと記念写真。(このお姉さんも少し日本語出来ます。)
素花房のご主人直伝の作り方で入れてみよう!!
さて、ここでおいしいお茶を飲んだら自分でも入れてみたくなり、ナビは素花房のご主人に習ってしまいました。入れ方は意外にシンプル。これなら家でも楽しめる!!ということで、入れ方大公開。ってえらそうなこと言ってるけど、全部素花房のご主人のパクリ。おじさん、技術協力ありがとう。(シャイなご主人、写真撮影は逃げられました)

漢方薬屋さんで材料を購入
必要な材料は、メインのカンゾウこと、甘草。甘さを加えるためにナツメと、菊花があればもっと良いそうです。素花房のご主人のご紹介で、材料を買いに行ったお店は、ナンポドン(南浦洞・Nampodong)にある漢方薬の卸売り店「高麗人参総販」。地下鉄ナンポドン駅から歩いて2分(2番出口を出てすぐです。)です。人参がもりだくさん。そのほかにも、たくさんの薬草があります。高麗人参は300グラムで35,000ウォンから80,000ウォンで購入できます。他にも韓国の蜂蜜(20,000ウォン~)、人参茶など体にいいものがたっくさん。日本人観光客もよく来るので、日本語も少し通じます。
こちらで、メインの甘草とナツメを買いました。どちらも2,000ウォンです。(甘草やテチュは市場の中でもたくさん売ってます。)量り売りをしてくれるので必要な分だけ買うことが出来ます。
菊花は素花房で販売しているもの(4,000ウォン)を購入しました。
甘草茶、開始!!
〈準備するもの〉

〈準備するもの〉

さあ、では入れてみましょう。素花房のおじさんのお話では、お茶を入れる雰囲気も味に影響を与えるとか。いつもはつけっぱなしのテレビを消して、静かーに、ゆっくーり、やさしーくお茶を入れましょう。
甘草 10本~15本ほど。

甘草 10本~15本ほど。

ナツメ 細く切ったものを3~5切れ

ナツメ 細く切ったものを3~5切れ

菊花 2つ

菊花 2つ

(ナツメはさらに甘さをプラスアルファするための隠し味。菊花も甘さプラスのためと、いろどりのため。この菊花だけで入れたお茶もなかなかおいしい!!)

茶碗 今日は、持ち運びにも整理整頓にもとっても便利な1人用の茶碗を使用します。これも韓国で購入。10,000ウォンぐらいで売ってます。
お湯 量は飲みたいだけ。

〈作り方〉
1. まず(当たり前ですけど)お湯を沸します。

2. お湯が沸いたら、甘草を入れた茶碗に注ぎすこしおいてから、お湯は捨てます。これはこれを2回ほど繰り返します。(これで甘草を洗ってあげてるんです。)
3. そして、菊花を加えお湯を入れすこしおいて、お湯を捨てます。
4. 最後に細く切ったナツメを入れて、同じようにお湯を入れて、すこしおいてお湯を捨てます。
ゆっくり味を楽しみましょう。香りと、色も見てあげて。
さあ、これで終わり。とっても簡単!!あとは、飲むだけです。どうですか?このきれいな黄色。あの甘草からこんなきれいな色が出るなんて不思議です。味は、3杯目、4杯目が特においしく、飽きがこないのでいくらでもいけますし、7、8杯ぐらいは余裕で甘草の味がでるので、どんどんお湯を注いで飲んでいきましょう。体がポッカポッカしてきます。
色が出なくなったら終わりです。
甘草はとてもリーズナブルなお値段で買うことができるので、韓国に来た際に買って行き(もちろん日本でも購入可能でしょうけど)、家ですこしずつ甘草茶を楽しんでみては?作るのがめんどくさいとお思いの方、一度「素花房」で飲んでみてください。はまっちゃいますよ。以上、プサンナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-07-05

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