百済の古都、扶余でこだわり散歩!いろいろなものが見えてくる?!
こんにちは、ソウルナビのるみです!地方大好きなるみが今回訪れるのは、古代王国百済最後の都、扶余(プヨ)。扶余とは538年から660年までの間は泗沘(サビ)と呼ばれ、泗沘城ともいわれる扶蘇山城(プソサンソン)を中心に栄えていた街。小さな町には百済時代の歴史スポットがたくさんあり、歴史テーマパーク「百済文化団地」やショッピングモール「扶余ロッテアウトレット」もあるなど、歴史散歩もショッピングも楽しめる観光スポットなんです。でも今回は通常の観光とはちょっと変わった扶余散歩!この扶余にはいろいろな時代に建てられた建物があり、人が行き来する空間があり、るみは近現代の扶余に注目して歩くことに。どんな散歩になるのかな?さっそく行ってみよう~
扶余ってどこにあるのかな
韓国の中西部、忠清南道(チュンチョンナンド)にある小都市、扶余はソウルから車で約2時間。るみはソウル南部バスターミナルからバスに乗って出発。南部バスターミナルから扶余行きのバスは、高速経由と直行の2タイプあります。所要時間は高速経由だとノンストップなので約2時間10分、直行は何ヶ所か途中で寄るため約3時間20分。ただ運転手さんのスキルによっては所要時間がかなり短縮することも。今回はノンストップに乗り、約1時間40分でついてしまいました。
時が止まったレトロ喫茶「クムナムタバン」
扶余市外バスターミナルに無事到着!1968年、このバスターミナルオープンに合わせてできたのが、ターミナルの2階にある喫茶店「クムナムタバン(錦南茶房)」。バスターミナルがかつて錦南高速ターミナルと呼ばれていたので、その名前がつけられたのかも。ドアを開けるとそこはもう時間が止まった別世界!真ん中にある水槽のインテリアが個性的!窓際の席ではおじいさん二人が談笑中。ちょっと暗い店内に窓から冬の陽射しが差し込む中、お店のマダムがきびきびと掃除しています。
最近は若い人向けのガイドブックに取り上げられたため、若い人が写真を撮りにたくさん来るとのこと。「クムナムタバン」のような喫茶店はるみも地方ではよく見かけたけれど、その数は年々少なくなっているよう。メニューはなんでもある、とマダム。とりあえずコーヒーを注文。あのタバンコピと呼ばれた激甘のインスタントコーヒーが70年代テイストのカップ&ソーサーに入って出てきました。ただこのバスターミナルはリニューアルする予定があり、タバンを続けようとは思うけれど今みたいな雰囲気はもう出せないのが残念・・・とマダム。
歴史を伝えるミニ博物館に生まれ変わった日本統治時代の店舗
扶余の中心には南北2つのロータリーがあり、聖王(高句麗の初代国王)の像がある北側のロータリーから幅の広い通り、聖王路(ソンワンノ)がのびています。百済時代には扶蘇山城の近くにあって大変栄え、また日本統治時代には市場も開かれ商業地として栄えていたところ。小さな商店や飲食店が並ぶ中、どこか懐かしい感じの外観の建物がずらりと並ぶ一角があります。ここで1938年から1943年の間に建てられた古い店舗は「扶余官北文化空間(プヨクァンブッナコンガン)」というミニ博物館として一般開放されています。
6つの建物は日本で1920年代前半から流行した店舗建築のスタイルに影響を受け、建物前面をモルタルや銅板で仕上げ、そこに店舗の屋号や装飾を施してあるのが大きな特徴。建物は内部でつながっていて、扶余の近代史を紹介する写真やレトログッズが展示されているとのことで期待していったのですが・・・開いていませんでした!ひえ~来る前に確認しておくんだった~土日はお休みだそうです。
建てられた年度がわかります
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後ろに回ると大きい家とわかります
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韓国の有名な建築家設計の「扶余古都文化事業所」
いつまでもがっかりしていも仕方がない!次に向かったのは扶蘇山城の山門近くにある「古都文化事業所」。こちらは1993年まで国立扶余博物館だった建物で、韓国では近代建築の巨匠と呼ばれる有名な建築家、金寿根(キム・スグン)が1971年に設計したもの。屋根の一部分が地上にまで延びている独特な形が目を引きます。しかしこの形が日本の神社建築の様式に似ているとされ、問題作としてマスコミを賑わせました。実はこの博物館のある場所、扶蘇山は1941年、朝鮮総督府により扶余神宮の造営地として指定され、たくさんの人が奉仕で働いたそう。ただ造営途中で終戦を迎えたため、神宮は幻に。そんな曰くのある地だから批判を浴びたのは仕方がなかったのかも・・・
ちなみにこの建物の2階には百済の歴史に関する展示室や映像館があります。中に入ると思ったよりこぢんまりとした空間でした。
ステキなログハウスで蓮の葉ごはんを堪能
気がつけばお昼時。扶余にやってきたらまず食べたい名物料理と言ったら蓮の葉ごはん!蓮の葉ごはんの店はいろいろありますが、るみがチョイスしたのが「ソルネウムレストラン」。扶余古都文化事業所から西へ、選りすぐりの飲食店が30店ほど集まる「クドゥレ飲食店通り」の中にあります。松の木を使った2階建てのログハウスで広々!ファミリーレストランというだけあって子ども用のイスがあったり、座るイスもゆったりとしていて落ち着いて食事ができるのがポイント高し。とんかつやパスタなどの和食・洋食メニューもあります。
蓮の葉ごはんと国産の豚や韓牛(ハヌ)の肉を使ったトッカルビ(韓国風のハンバーグ)定食が有名な「ソルネウムレストラン」。トッカルビの種類と数で定食の値段が異なります。るみは豚肉と牛肉両方が楽しめる蓮定食をオーダー。ナッツ類、なつめ、栗などを入れて炊いたもち米を蓮の葉で包んで蒸した蓮の葉ごはんは、花のような香りでいっぱい。
※写真は1人前。2人前より注文できますが、お一人様の特別対応をしてもらえる場合も。混む時間を外して事前に電話で問い合わせてみましょう。
トッカルビはそのまますぐに食べられる状態で出てきますが、温め用の専用コンロが百済テイスト! おかずはお肉や野菜、きのこもたっぷりで大満足~
築90年近くの韓屋をリノベーション、おしゃれなカフェでひとやすみ
「ソルネウムレストラン」を出てクドゥレ彫刻公園を左に見ながらクドゥレ飲食店通りを歩いていくと、右手に見えてくるのが「カフェハップム」。ハップムは韓国語で『あくび』という意味。築90年近くのコの字型の韓屋をリノベーションしたお店はモダンなインテリアでまとまっていてとても落ち着いています。2、3年前にるみが扶余を訪れた時、コーヒーチェーン店はそんなに見かけなかったのですが、今ではこのようなカフェもあるんですね、ゆっくり休むのにちょうどよさそう~中庭もステキ!新緑や紅葉の季節にまた訪れたい!
普通の路地を気ままに散策
住宅が続く通りをふらりと散策。木の板の壁の家が並ぶせいまい路地を歩いたり、市が立って地元の人でにぎわう通りを歩いたり。でも買い物客でにぎわう通りを過ぎると人がいなくなってしまいます。土曜日だからというのもあるけれど、人通りも車も少なく、町全体が静かな感じ。ちょっとさびしいけれど古都らしくてよいかな?
敷地がひろ~い定林寺址
百済の雰囲気も感じておこうと向かったのが定林寺址(チョンニムサジ)。扶余の町中にあるお寺の跡です。敷地がとても広くて石塔や石仏坐像の拝殿が見えるけれど、入口にたどり着くまで結構な距離があってるみも体力を消耗・・・
こちらは6世紀の中ごろに建てられた寺。1400年の歴史を伝える国宝第9号指定の五層石塔と、それと向かい合うようにある拝殿の中に宝物第108号の石仏坐像があります。石仏は高麗時代に定林寺の再建された際に造られたものと推定されています。
定林寺址博物館では百済時代の仏教文化と定林寺の歴史に関する展示を見ることができます。おみやげコーナーや休憩コーナーもあるので、こちらでひと休みがオススメ。
かつて栄えた窺岩里を散策
博物館で休憩をして少し元気になったるみ、市内バスに乗って白馬江(ペンマガン)を渡り、次の目的地、窺岩里(キュアムニ)へ。白馬江とは錦江(クムガン)の下流の約16kmを指し、百済で一番大きな川という意味もあるそう。川にかかった橋の名前は百済橋(ペッチェギョ)。バスの乗って約20分くらいで「窺岩里農協前」バス停に到着です。
窺岩里は朝鮮王朝時代、西から扶余へと渡るときに重要な役割を果たした水上交通の要衝。船着場周辺で開かれる五日市もたくさんの人でにぎわいました。この窺岩という地名は1914年にできたものだとか。日本統治時代には当時栄えていた河湾都市、江景(カンギョン)から船の往来もあったので、2ヶ所の船着場は繁栄を極めたとか。ソウル(当時は京城)や大田(テジョン)などの都市からは窺岩里で一夜過ごすのが基本だったため旅館も多かったそう。
船着場の繁栄とともに窺岩里は行政、経済、教育の中心となり、近代施設が次々と建てられ、扶余の中でも最も栄えた地域だったとか。そんなかつての繁栄の跡がたくさん残ってるかしら~と張り切って行ってみましたが、とにかくさみしいの一言・・・車もほとんど通りません。1968年の百済大橋開通で歴史から忘れられる存在となってしまった窺岩里。さっきるみが渡ってきた百済大橋は1997年にできたものだそう。
たぶんここなんだろうなあと思われる通りには、2階建てのりっぱな建物や店舗兼住居がぽつぽつ。でも最近植えられたと思える桜の並木が寂れた通りをいっそう寂しく見せているような気が・・・春になったら明るい通りになるといいな。
帰りはあせる!地元のパン屋をさらっと見てソウルに戻ります
窺岩里のかつて栄えたと思われる通りにはバスも来ず、タクシーもなかなか来ない!焦るるみ。大きな通りに出る気力がないまま、錦江に沿ってトボトボと歩いていると運よく空車のタクシーが!大通りに出てもなかなかタクシーが来ないのにこんなところ歩いてちゃだめだよ、乗れてラッキーだと思ってと運転手さん。行きはよいよい帰りはこわい・・・市外バスターミナルに早めに到着、16時30分のソウル行きのバスを待つ間、入ったのがターミナル前にある「エッフェル製菓」。
こちらは1986年創業以来、地元で愛されているパン屋さんです。どっしりとしたボリュームのある惣菜パンや菓子パンが並んでいます。特にこれ!という名物パンがあるというわけではないのですが、蓮を使ったお菓子も売られています。
いかがでしたか?扶余の近現代にスポットを当ててまわった1日散歩。ちょっとマニアックすぎ?いや、こんな扶余の楽しみ方もあるんだなと思ってもらえれば、るみもうれしいです。ちょっと視点を変えるといろいろな街の姿が見えてきそう!メインコースに上のスポットをはさんでみるとさらにおもしろいかも?!次来るときは錦江の向こう岸にある百済文化団地に行きたいな、ついでにきれいなホテルに一泊してみたいな、またアウトレットやレストラン街にも行ってみたい!次はどんな扶余を満喫しようかなとさっそくプランを練っているソウルナビのるみがお伝えしました。