格安で釜山へ!

格安で釜山に行こう!驚愕!1万円で韓国に行く方法!

アンニョンハセヨ、プサンナビです。格安航空券などが出まわり、海外がますます身近になっていく昨今。安さが魅力で韓国を訪れる人もだいぶ増えたと聞きます。「ソウル2泊3日で2万9800円!」なんて広告もよく見かけますよね。でもまだまだアマイ!なんと1万円を割る激安価格で韓国に行く方法があるんです。それも東京からで1万円。韓国から近い福岡、博多の話ではありません。東京から福沢諭吉を1枚抱いて韓国に渡る。目からウロコの激安旅を、ナビが伝授いたします。
とっても厳しい条件設定
なにしろ1万円を割る超爆安プランなので、それだけ条件設定が厳しくなります。まず、この方法は誰にでも利用できるわけではありません。学割を使用することが前提となるため、学生でない人には使えません。時間はあるけど資金がない。そんな学生さんにうってつけのプランです。ただし学生ならばすぐにでも行けるか、というとそうでもありません。さらに以下の条件を満たさなければいけません。
<条件>
「7月19日~8月24日の期間内で、かつ土・日・祝日であること」

ちなみに2002年の場合、この条件に当てはまったのはわずか11日しかありませんでした。1年365日の中でたった11日。激安で韓国に行くのもけっこう大変なのです。

青春18切符を活用しよう!
1万円で韓国に行くためには、まずJRが期間限定で発売する「青春18切符」を購入する必要があります。青春18切符とは乗車券のみで利用できるすべての列車に乗り放題という切符のこと。0時から翌日の0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効です。この切符を使うと、1日あたり2300円という値段で長距離の移動ができます。ただし乗車券のみの切符なので普通 、快速、新快速などの列車以外は乗ることができません。ほとんど全行程を通じて各駅停車の旅となるため、膨大な時間がかかることは言うまでもありません。ジリジリとカタツムリのように日本国内を少しずつ移動していきます。

注意:青春18切符は必ず5枚綴りで販売されます。現実には5枚分の料金である1万1500円がかかります。ただしこの切符は団体でも使用できるので「それじゃ1万円以上かかるじゃないか!」という人は5人グループで実行してください。

下関からフェリーで釜山へ!
東京から青春18切符を使って、まず目指すのは下関になります。下関から関釜フェリーに乗ってのんびり1晩。夜7時に出港した船が、翌日の朝早く釜山に到着です。このフェリーの料金が学割を使うと6800円。青春18切符の2300円と合わせても、なんと9100円!このほか臨時列車が発車する時刻との関係で、乗車券代が別途に190円、下関国際フェリーターミナルの使用料が600円かかりますが、これらを全部合わせても支出トータルは9890円。見事1万円以下で韓国に行くことができます。

<学割使用>
 支出内訳  / 金額
青春18切符(1回分) 2300円
関釜フェリー(学割使用) 6800円
品川~川崎駅間乗車券 190円
港使用料(下関港) 600円
合計 9890円

<学割なし>
支出内訳 /  金額

青春18切符(1回分) 2300円
関釜フェリー 8500円
品川~川崎駅間乗車券 190円
港使用料(下関港) 600円
合計 11590円
(料金は2002年9月現在)

23時55分発大垣行き臨時列車
フェリーに乗船するための手続きが、午後6時をもって締め切られます。1万円以下で韓国に行くためには、なんとしても午後6時までに港へ到着しなければなりません。青春18切符1枚だけを使用してこの締め切り時間をクリアするためには、品川駅発「23時55分大垣行き臨時列車」に乗ることが絶対条件になります。先程あげた条件の「7月19日~8月24日の期間内」という部分は、臨時列車の運行がこの時期に限られているということを意味します。この臨時列車は品川駅を23時55分に出発し、新幹線並に駅をすっ飛ばして、翌朝の5時55分に岐阜県大垣駅まで到着します。ちなみに条件としてあげた期間に限らず、同区間をムーンライトながらという快速電車が走っていますが、こちらは全席指定で指定席券代の510円がかかる上、豊橋からの各駅に停車するので大垣着も6時56分と遅れます。これではフェリーの手続き時間に間に合いません。

休日ダイヤを活用せよ!
次に「土・日・祝日であること」という条件ですが、これは平日と休日でダイヤに違いがあることと関係します。実際に時刻表を見て確認していただけるとわかると思うのですが、
平日ダイヤに則って、大垣、米原、姫路、岡山、岩国、下関と電車を乗り継いでいくと、どんなにがんばっても下関到着が18時16分となり、フェリーの乗船手続きに間に合いません。ところが休日ダイヤを上手に利用し最短時間で行くと、大垣、米原、姫路、岡山、糸崎、岩国、徳山、下関と乗り継いで到着時刻が、なんと17時27分!フェリーのターミナルまでは徒歩7分の距離なので、乗船時間にギリギリで間に合うのです。フェリーに乗り込んでしまえば、後はしめたもの。船の中でぐっすり眠っていれば自動的に韓国まで連れて行ってくれます。釜山到着は翌朝の8時30分。都合で2泊3日もかかりましたが、無事に韓国到着です。

本当に行けるの?
「理屈では正しいのかもしれないけど、本当にそんなことできるの?」「時刻表だけ眺めて机の上で考えた企画じゃないの?」という意見もあるでしょう。各駅停車とフェリーで2泊3日移動しっぱなし。確かにまともな手段ではありません。パックツアーだったら、観光しておいしいものを食べて、充分韓国を満喫できる日数です。ですが!この尋常ならざる手段に、今回ナビが身体をはってチャレンジして参りました。果して本当に1万円で韓国に行けるのか。各駅停車とフェリーで韓国まで行けるのか。以下は体力と精神力の限界に挑む、語るも涙のリポートです。

6時間耐久席取合戦!
ナビが出発地点である品川駅に到着したのは、8月17日の午後9時過ぎ。この日は土曜日で「7月19日~8月24日の期間内で、かつ土・日・祝日であること」という条件にきちんと当てはまっています。電車の発車する3時間前に到着したのですが、すでにホームは人であふれかえっていました。そう、この電車は全席自由席なので座席は早いもの勝ち。朝まで座れないのはつらいので、座席の確保にみんな早くから行列を作るのです。ちなみにインタビューしてみたところ、もっとも早く来たグループは4時の到着でした。最前列に陣取っている人たちは、だいたい6時から7時には来ていたようです。日によって混雑具合も違うので確実に座るためにも、できるだけ早めの到着を心がけましょう。ナビは9時過ぎの到着でしたが、なんとか座れました。とりあえずは、ほっ。
乗り遅れたら一大事!
朝5時55分に大垣駅到着。眠れたような、眠れなかったような全身けだるい感じですが、ぼやぼやしている暇は一切ありません。なにしろ次の電車が発車するのは5分後。隣のホームで待つ発車寸前の電車に飛び乗らなければならないのです。それ、急げ急げ。
乗り換えはすべて分単位!
大垣から先は乗り換えとの勝負です。下関到着まで7度の乗り換えがありますが、そのすべてが分単位。最も長い乗り換えで14分。短いところでは2分という駅もあります。食事をする時間はおろか、売店にちょっと立ち寄るのも難しいくらいの時間。くれぐれも食料、飲物の確保は出発前にしておきましょう。

乗換駅/ 着 /発 / 備考

品川駅 /  /23:55 /大垣行
大垣駅/ 05:55 /06:00 /姫路行、米原乗り換え
米原駅/ 06:35 /06:38 /姫路行
姫路駅 /08:58 /09:02 /岡山行
岡山駅 /10:26 /10:28 /糸崎行
糸崎駅/ 11:53 /12:07 /岩国行
岩国駅 /14:03 /14:15 /徳山行
徳山駅 /15:21/ 15:24 /新田原行、下関下車
下関駅/ 17:27 /   /港まで徒歩7分
(全国時刻表2002年8月号より)

下関へ着いたら港へ全力ダッシュ!
長い長い1日を終え、ようやく下関に到着です。しかしここでもまだのんびりはできません。手続きの締め切りまで残された時間は33分。フェリーターミナルまでダッシュです。フェリーターミナルまでの行き方は、改札を出てまず右手に。エスカレーターを上がって道なりにまっすぐ行きます。ひときわ目立つ海峡ゆめタワーを正面に見て歩き、大型電気専門店DEODEOの手前で右へ。青い歩道橋のはるか先に見えるのが下関港国際ターミナルです。ここでもたもた迷っている暇はありません。あちこち人に聞きながらでも、とにかく急いでターミナルまでたどり着きましょう。着いたら一目散に乗船窓口です。
フェリーに乗れたら一安心
フェリーに乗ってしまえばもう大丈夫。乗り換えを気にしなくてもいいし、時刻表とにらめっこする必要もありません。のんびりした気持ちで船旅を楽しみましょう。と思ったらこの日は台風13号の影響で船が大揺れ。寝る以外なにもできませんでした。
船に乗っていた人たちにどこから来たのか聞いてみると、京都、広島、埼玉、東京と見事にバラバラ。全体的に日韓共同切符を利用してきた人が多い中、いました、いました。埼玉から来た大学生が、なんと青春18切符で来ていました。ほ、本当にこのルートで来る人がいたとは……。しかもこの彼は今回が初めての韓国とのこと。世の中にはすごい人がいるものです。ナビも思わず握手を申し出てしまいました。

着いた、釜山だ、到着だ!
フェリーは夜中の内に釜山沖へ到着しますが、税関が開く8時ころまではそのまま湾内に停泊しています。甲板に出ると、朝日を浴びる釜山の市街地が目に入りました。17日の夜に出発して19日の朝、ついに釜山到着です。いやあ本当にここまで長かった。思わず後ろを振り返ってみると、そこには五六島の姿がありました。波間に浮かぶ美しい島の姿。1万円持って韓国に行こう。堂々のグランドフィナーレです。
旅を終えて
確かに1万円で韓国まで行くことは可能でした。しかし、その行程は決して楽なものとはいえません。電車移動は17時間半にものぼり、その間には乗り換えが7度もあります。また、途中で電車が混雑することもあるので、のんびり寝ていればいいというものでもありません。電車は遅々として進まず、乗り換えの時間は忙しい。変わり映えのしない景色を延々と眺め、退屈で時間を持て余す。それが各駅停車の旅です。
でも、そこに少しばかりのロマンを感じませんか?

旅の結果よりもプロセスを大事にしたい人。目標が困難であればあるほど闘志がわいてくる人。他人がやらないことにこそ魅力を感じる人。人生はネタであると信じる人。そんなあなたのためにあるプランです。学生時代だからできること。それはきっと一生の思い出になります。仲間とワイワイ行くのもいいでしょう。1万円で韓国に行く超爆安プラン。盛り上がること間違いなしです。正直、ナビももう1度やろうとは思いません。でも今やっておいてよかったというのも本音です。チャレンジする人は少ないと思いますが、もし我こそはという人がいれば応援したいと思います。つらいぞー、と口の端でニヤリと笑みを浮かべながら……。以上、プサンナビでした。

ナビの独り言

この企画に帰りは含まれていません。帰りのことを考えると、値段は格安航空券とたいしてかわらないんだよなあ……。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-09-23

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