テボルム

お正月は15日のテボルムまで。テボルムを一緒に祝おう!


こんにちは。ソウルナビです。皆さんは「テボルム」ってご存じですか?韓国では1年で最初の満月の日を正月テボルム(정월 대보름)と呼び、お月見をする日となっています。日本でのお月見は「中秋の名月」という言葉もあるように秋(旧暦8月15日)に行うのが普通ですが、韓国では旧暦の1月15日。この日は各家庭でお祝いをします。日本でもお月見をする時は、地方により多少異なりますが、月見団子やススキを飾ったりしますよね。こちら韓国でもテボルムの日に食べる特別料理や飲み物、言い伝えや伝統遊びがあるんですよ!そこで今日は、テボルムに関わるいろいろな食べ物や風習をご紹介しましょう~

テボルムに食べる食べ物

旧暦の1月15日に作って食べる特別料理のことを「サンウォンチョルシッ(上元節食)」といいます。その中で今でも韓国の各家庭でテボルムの日によく食べられるのが「オゴッパッ(五穀ごはん)」や「ヤッシッ(薬食=うるち米にナツメやハチミツ、黒砂糖などをいれて炊いたもの)」「イミョンジュ(耳明酒=耳をよくするお酒)」「プロム(皮の硬い木の実=ピーナツ、胡桃、栗など)」など。テボルムが近くなると、市場やデパートなどにテボルム用の食材が並びます。またコンビニに「ブロム」が並ぶことも。
■オゴッパッ(五穀飯)

テボルムに食べるもの、といえば一番に思い浮かぶのがこれ。五穀(もち米、黒豆、小豆、あわ、きび)をまぜて炊いた健康ご飯のこと。五穀飯を食べるようになった由来は松の実、栗などが高価だった時代、それらの薬食の代わりに食べたことが始まりだそう。3軒以上の名字が異なる家で食べないとその年の運が良くないといわれ、家ごとに交換して食べていたとか。

■ムグンナムル(チンチェシッ(陳菜食))

晩秋になると、ワラビやシイタケ、豆もやし、カボチャや茄子、大根の葉などの山野菜を準備して、冬のあいだ天日に干し、テボルムの日にこれらの野菜をナムルにして食べます。このナムルのことをムグンナムルまたはチンチェ(陳菜)、チンチェシッ(陳菜食)などといいます。昔から冬の間に落ちていた食欲を取り戻すために伝わってきた風習で、オゴッパッと一緒に食べると夏バテしないだけでなく、1年間無事に過ごすことができるといわれています。

ロム(殻の堅い木の実)

テボルムの朝は栗、くるみ、銀杏、落花生などを食べ、「この一年、無病息災でありますように、また、皮膚病にかかりませんように」と願いごとをします。これは木の実を噛む、カリッカリッという音を聞くと鬼たちが出ていくという言い伝えからと言われています。また、プロムという言葉はデキモノ、腫れ物という意味もあり、これを食べることによって一年間皮膚病にならないとも言われているそう。実際これらの木の実は皮膚に良い栄養素が多く含まれているそう。昔の人の知恵ってあなどれません!

ミョンジュ(耳明酒)(クィパルキスル:耳をよくする酒)

テボルムの朝には家族が集まり、朝に冷たい清酒を1杯飲むと、耳の聞こえがよくなるといわれています。この酒を耳明酒(イミョンジュ)、またはクィバルギスル(耳が明るくなる酒)と呼びます。

ッシッ(薬食)

ヤッシッとは、もち米をハチミツ、ゴマ油、しょう油で味付けし、クリやナツメ、松の実などを混ぜて炊いた甘味のあるおこわのこと。ヤッパッ(薬飯)ともいい、ご飯と言うよりもおもちのように食べるもので、今でも普段から伝統餅屋さんに行くと売っています。またテボルムにはヤッパッを炊き。カラスに捧げる風習も現在まで伝わっています。

ッチュッ(小豆粥)

パッチュッ(小豆粥)といえば韓国では「冬至(トンジ)」に食べる料理ですが、実はテボルムにも食べる風習があります。テボルムの料理といえば五穀飯(オゴッパッ)やナムルの印象が強いですが、パッチュッの小豆の赤色には鬼や悪いものを寄せ付けない効果があるといわれ、テボルムの前日に食べます。

ッサム(またはポンニ(福裏))

テボルムの日に菊科の葉や白菜の葉、あるいは海苔でごはんを包んで食べる風習のこと。このごはんを包んだポッサムをいくつか作り、お皿に高く積み、家を守る神にお供えしたあと食べると福が来るとされています。またフグもこの日に食べられる食材。これはフグが韓国語で『福』と同じ発音のため縁起の良い食べ物とされ、テボルム以外にも旧正月や旧盆、誕生日にも食卓にあがります。またフグを食べると健康で長生きできるといわれています。

ォンソビョン(元小餅、1月15日の晩に月を見ながら食べるモチ入りのデザート)

もち米を水で溶き、白や黄色、赤、青に色付けし、でんぷんなどといっしょにこねた餅の中になつめや柚子を小さく切りいれた餡を入れ、団子にします。これを茹でてから冷たい水に入れ、完全に冷ましてから深めの鉢に盛ります。その上にハチミツや砂糖水を掛けて、最後に松の実を浮かせたもの。中国でも元宵といい、あんこ入りのもちを食べる習慣があります。

テボルムの風習・言い伝え・遊び

韓国では1年中たくさんの行事が行われますが、中でもこのテボルムと正月は行事の数が多く、この2つだけで1年に行う年中行事の半分を占めるともいわれています。そんな昔から伝わる風習、言い伝え、遊びなどもたくさんあるんです。
ルマジ(月見)

タルマジはテボルムの日、高いところからお月様を見ること。韓国では一番最初に月を見た人に良いことがあるといわれています。また月の満ち欠け、大きさ、高さなどでその年の豊凶を占います。

プキョ(踏橋)、タリパルキ(橋ふみ)

歳の数だけタリ(橋)を踏めば、その1年間は足の病気をせず、すべての災いが追い払われるだけでなく、福も呼び寄せるとされた風習からきたもの。タプキョ(踏橋)ともいわれるタリパルキは、毎年正月15日(陰暦の1月15日)前後の3日間の夜に行われ、この日に都城の4つの大門をすべて閉めなかったという記録があるように、この遊びは昔から非常に大切に、そして大々的に行われていたことがわかります。特に15日にはあまりにもたくさんの人が出てきてしまって混雑することから、既婚女性は16日にタリパルキを行い、両班たちは商民たちと体がぶつかるのを嫌って14日にタリパルキを行ったそう。橋(タリと発音し、韓国語で足と同じ発音)を踏むと足が丈夫になると言われています。テボルムには他にもたいまつをもって丘にあがり、月が昇るのを待つ「ヨンウォル(迎月)」など、地方によってさまざまな行事があります。

ウィパルギ(暑さ売り)

正月15日(陰暦の1月15日)、太陽が昇る前に起き、村で出会った相手に対し、名前を呼んで返事をしたら「私の暑さを買って行って」と言い、そうやって暑さを売ることでその年の夏は夏バテしないといされている風習。この日は誰かが名前を呼んでも返事せず、「まず私の暑さを買って行って」と言い返したりします(--;) 実はこちら、今でも韓国の全土で見られる風習。皆さんも陰暦の1月15日、韓国の友人または周囲の人に向かって試してみてはいかが…?! (^^)

ウジョンソッ(友情の釜)

夜が明けると親しい人同士、ごはんやナムルをこっそりぬすんで食べていました。前もって盗ませるごはんをウジョンソッの中に入れておき、うさぎや鶏にまでめでたさをお裾分けしたとか。

クルムンケ(飢えた犬)

テボルムの日、人間はいろんなものを食べたり飲んだりしますが、犬には食べ物を与えないそう。これはテボルムに犬にえさを与えると夏にハエが発生して犬の発育に良くないという言い伝えや、犬が満月を見ると一晩中ほえつづけるからエサを与えないといった説があります。今でも、祝日にご馳走がなくつまらなく過ごすことを「犬がテボルムを迎えるようだ」などと言ったりします。

■9という数字

テボルムの前日、「9」という数字が重要になります。たとえば書堂(昔の学校)に通う子供たちはこの日千字文(昔の漢字練習本)を9回読まなければならなかったし、薪木も9本とらねばなりませんでした。9という数字は縁起のよい数字である3を3回かけあわせた数字であり、吉数であるとされています。しかし厄運もよぶとされているため、9がつく年には結婚してはいけないとも言われています。

ピョッカリッテ(豊作を祈る農業儀礼)

正月テボルムに藁や松に麦、粟、稗、小豆、きびなどの穀物を包んで木の枝に結びつけたあと、井戸や庭に高く立てかけ、豊作を祈る農業儀礼。旧暦の1月15日に立て、同じく旧暦の2月の初旬に下ろすまではそのままにしておきます。農家では個人でやる人もいれば、村人たちが共同で豊作を祈る場合もあったそう。この松に結びつけるものは豊作祈願や風を調節し、雨と太陽など豊作に最適な天気を願うなど、それぞれ意味があります。

ルチッテウギ(稲や松の葉を燃やす行事)
ュィブルノリ(火のついた箱をふりまわす)

テボルムの日、昼間はユンノリ(韓国のすごろく)遊びをして、夜になると月見をしながら「タルボアッター(月をみたぞー)」と叫びながらお辞儀をし、願い事をします。その後、たきぎ、わら、松の葉などを高くつみあげ、燃やします。日本のとんど焼き(どんど焼き、どんどん焼き)に似ています。
また火のついた箱を振り回すチュィブルノリもこのとき行われます。こちらはもともと旧暦正月のねずみの日(上子日)に行う遊びでしたが、現在ではテボルムの晩によく行われます。箱に火をつけ、ねずみがいなくなって、豊作になるようにという意味が込められています。京都の大晦日に行われるおけら参りと似ています。
昼間の様子。願い事を書いて紐に結び付けます。 昼間の様子。願い事を書いて紐に結び付けます。 昼間の様子。願い事を書いて紐に結び付けます。

昼間の様子。願い事を書いて紐に結び付けます。

夜の様子。皆の願いが叶いますよ~に 夜の様子。皆の願いが叶いますよ~に 夜の様子。皆の願いが叶いますよ~に

夜の様子。皆の願いが叶いますよ~に


ンナルリギ(凧揚げ)

いろんな形の凧を、空高く上げる凧揚げ。韓国の凧は日本の凧と違って、真ん中に穴があいています。一年の災難をとばすという意味で、糸を切って凧を飛ばしたり、厄運を燃やすという意味でタルチッテウギでいっしょに燃やしたりします。

ナムニョチュルタルリギ(男女綱引き)

月見が終わると男女がチームに分かれて綱引きをし、女性チームが勝つと豊作だという言い伝えがあります。だから男性チームはわざと負けるそう。月は女性の象徴であり、豊年をあらわす意味があるからです。

以上、簡単に韓国のテボルムについてご紹介しましたが、これらはほんの一部。地方によって遊び方や風習、呼び方までちがうものもあります。上にあげたのは代表的なもの。中には日本の遊びや風習にとっても似ているものもあると思います。このあたりを知識としてちょっと知っておくと、韓国がもっと近くに感じられるのでは?テボルムの日は毎年全国各地でさまざまなイベントも開催されるので、皆さんも機会があれば是非参加してみてくださいね。以上、ソウルナビでした。



その他情報

*写真を追加しました。一部リライトしました。<2014.5.29>
*記事の内容を一部更新しました。<2017.2.10>

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2014-05-29

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