ビビンバ(大晦日)

大晦日の夜はビビンバを食べよう!

アンニョンハセヨ、プサンナビです。いよいよ韓国のお正月が近づいてまいりました。韓国は陽暦でなく陰暦で正月を祝うため、今年は2月9日(陰暦1月1日)が新年の始まり。そして明日2月8日(陰暦12月30日)は大晦日です。日本で大晦日に食べるものといえば、なんと言っても年越しそばですが、韓国ではいったい何を食べるかご存知ですか? 今ではもうあまり行われなくなった風習ですが、かつてはビビンバが大晦日の料理だったといいます。大晦日にビビンバを食べて、正月にはトックク(雑煮)を食べる。そんな古い風習をちょっと調べてみました。
大晦日にビビンバを食べる理由
日本で年越しそばを食べる理由には、そばが細く長いので長寿を象徴する、金銀細工の職人がそば粉で金の粉を集めたところから富を象徴する、などたくさんの説があるようです。では、韓国で大晦日にビビンバを食べる理由はなんだったのでしょう。調べてみると、どうやら新年を迎えるにあたって、残った料理をすべて片付けようという目的からだったようです。余ったナムルなどを新年に持ち越さず、その年のうちに食べきるにもっとも便利な食べ方がビビンバ。台所もきれいさっぱりとさせ、新たな気持ちで新年を迎えようということですね。

ビビンバ発祥の由来あれこれ  
上のような理由で大晦日にビビンバを食べるわけですが、専門家の中にはこの風習こそが、ビビンバの発祥ではないかと考える人がいます。ビビンバという料理がいつ頃から食べられていたのかはいまだに謎とされており、多くの人がいろいろな学説を立てています。そのひとつが大晦日の残り物処分説なのですが、ほかにも説得力のある説がたくさんあるようです。いくつかをざっと紹介してみましょう。
宮廷料理由来説
ビビンバは骨董飯(汨董飯)という名で、宮廷料理のひとつに数えられています。この宮廷から生まれたという説は数が多く、さまざまな推測がなされています。王様に突然の来客があったときにご馳走を準備する時間がなく、ナムルなどの残り物をごはんの上に盛りつけ一品料理として出したという説。戦火に遭って王様が宮中から逃げ出した際に充分な食事を準備できず、ごはんとナムルを一緒に盛って出したという説など、ほかにもたくさんあるようです。

畑仕事の昼食由来説

畑仕事に出る際に、簡単な弁当として持っていったごはんとナムルを混ぜて食べたことに由来するという説。手早く食べて残りの時間は、午後の英気を養うため昼寝に当てたとも言われています。同じような理由で生まれたとされている料理がサンパプ。サンチュなどの葉野菜でごはんを包んで食べる料理です。

祖先祭祀後の食事由来説
ご先祖さまをお祭りするために作ったご馳走は、祭祀が終わった後にみんなで分けて食べます。その際に、大勢の人がいるので食器が足りなくなり、大きな丼にまとめて盛って出したのがビビンバの始まりという説です。慶尚北道の安東には祭祀料理を模したホッチェサパプという料理があり、別名を安東ビビンバとも呼ばれています。ごはんとナムルを混ぜ、コチュジャンを使わず醤油で味付けたビビンバで、おかずとして祭祀料理が一緒につきます。
このほかにもまだまだたくさんの説があるようです。ビビンバの由来がはっきりとわからないのは記録がほとんど残っていないから。文献上にビビンバの文字が見えるのは19世紀後半に書かれた『是議全書』と、他の料理に比べれば最近のことです。ごはんにナムルを盛って混ぜるという簡単な料理であることから考えると、生まれたのはもっともっと昔のことに思えますが、時期すらも特定できない謎多き料理なのです。
いろいろなビビンバ一挙紹介
さて、理由、発祥と難解な話が続いたので、ここからはぐっとくだけて美味しい話をしましょう。一口にビビンバといっても、ずいぶんと色々な種類があります。全部を紹介するのは難しいですが、有名どころだけでもいくつか並べてみたいと思います。
○全州ビビンバ
ビビンバの本場といえばやっぱり全州。全州ビビンバはかつて宮廷にも献上され、朝鮮3大料理のひとつにも数えられました。大きな特徴は真鍮の器を使用することと、具がたくさん入ること。宮廷料理と呼ぶにふさわしい豪華さが楽しめます。 s
○石焼きビビンバ
石焼きビビンバも同じく全州名物のひとつ。器が熱されているために、最後まで温かいまま食べることができます。石焼きの器には、全州の近くにある長水というところでとれた蝋石が最適だそうです。
○ユッケビビンバ
ユッケ(牛肉の刺身)を乗せたビビンバは、慶尚南道に位置する晋州の名物料理。新鮮な牛肉を使ったユッケと、柔らかい緑豆モヤシが入るのが特徴。晋州でビビンバというと、このユッケビビンバが出てきます。
○フェトッパプ
ビビンバという名前ではありませんが、韓国では刺身丼もぐるぐるかき混ぜて食べます。使われる刺身は白身魚が中心。生野菜を具に加え、コチュジャンに酢を混ぜたチョコチュジャンで味付けます。刺身をさっぱりと食べられる料理です。
釜山でビビンバを食べるには
最後に釜山でビビンバを食べられる店を紹介しましょう。プサンナビでも取材したお店は、南浦洞エリアのサネパッ、ピサボル。そして西面エリアのウジョンがあります。そのほかにも普通の食堂や、焼肉店の食事メニューにもビビンバはあります。そのとき、そのときの気分でいろいろお店を選んでみてください。
ということで、ビビンバのいろいろな話を紹介してみました。明日の大晦日、チャンスがあったらぜひビビンバを食べてみてくださいね。そして、新年の朝にはまた新たな気持ちでトックク(雑煮)を。ビビンバからトッククへ、新年のバトンリレーを楽しんでみてください。以上、プサンナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-02-04

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