K・F・Cの釜山を食べ尽くそう 第1弾~コプチャン編

釜山の夜に歓喜の咆哮、ムンヒョン洞でコプチャン激食!

アンニョンハセヨ、K・F・Cです。突然ですが、なんだか猛烈にうまいものが食べたい日ってありませんか? 両のコブシをぎゅっと握りしめ、「よおーっし、今日はちょっとうまいもん食べちゃおうかな!」なんてひとり盛り上がってしまうとき。頭の中においしい妄想がいくつもいくつも膨らみ、牛肉いっちゃおうかな、カルビでも食べちゃおうかな、とあれこれ思いを巡らせます。幸せですよね。ええ、とっても幸せな瞬間です。

ところが! なんとも不思議なことに、こういうときほど財政事情が厳しかったりするんです。うまいものは食べたいけど、財布がそれを許さない。幸せがいっぺんに霧散していく瞬間です。悲しいですよね。ええ、とっても悲しいです。でも、ご安心ください。今日は、そんな矛盾した局面に最適。うまくて安い、庶民の味方的大ゴチソウを紹介したいと思います。少ない軍資金で、最大限の満足。ムンヒョン洞の名物料理、コプチャンを食べに行きましょう。
コプチャンとは何ぞや!?
「うまくて安い」はいいですが、そもそもコプチャンとはいったい何でしょう。その正体がはっきりしない以上、ほいほいとついて行くわけにはいきませんよね。まずはそこから種あかしをいたします。コプチャンとは、いわゆるホルモンのこと。ここでは豚の小腸やハツなどを使った焼肉のことをさします。何を隠そう、釜山は知る人ぞ知るホルモン天国。今回紹介するのは豚のホルモンですが、ヤンゴプチャンと呼ばれる牛のホルモンも高い人気を集めています。

いざ、南浦洞を出発!
南浦洞(ナンポドン)からムンヒョン洞コプチャン通りを目指します。地下鉄でも行くことができますが、便利なバス移動のほうを選択してみました。バスで行くと、ちょうど通りの目の前で降りることができます。バス停は南浦洞と中央洞の中間。郵便局の手前、道路の反対側にあります。ムンヒョン洞まで行くバスは、26番、27番、34番、41番、101番、109 番、134番、139番など。降りるバス停は、ムンヒョンキョチャロ(ムンヒョン交叉路)になります。
バス移動に自信のある方は、バスのほうが便利ですが、ちょっと不安だという方は地下鉄をご利用ください。多少、降りにくいバス停なので、地下鉄からのほうが確実です。
ムンヒョン洞に到着!
晴れてムンヒョン洞に到着。バス停を降りたら、進行方向すぐの横断歩道を右へ。大通りを渡ったすぐ左手が、ムンヒョン洞コプチャン通りの入口です
ちょっと聞き込みなんぞしてみます
ムンヒョン洞に到着し、すぐにでも店に入りたいところでしたが、はやる気持ちを抑えつつ、ちょっと情報収集などしてみました。

「コプチャンの専門店ばっかり、すごい数ですねえ」
「兄さん、ムンヒョン洞は初めてかい?」
「ええ、初めて来ました」
「そうか。ムンヒョン洞のコプチャンはうまいぞ。なんせ60年の伝統があるからな」
「60年?」
おじさんの話によれば、このムンヒョン洞にコプチャン通りが形成されたのは60年ほど前。近くに食肉用の豚を解体する場所があり、そこで余った内臓肉を調理して安く販売し始めたところ、これが大当たり。最初ひとつ、ふたつだったコプチャンの専門店は、人気を得るに従って徐々に店が増え、いつしか名物通りとして発展したとのことです。現在では20店舗あまりが営業をしています。

お店の選択に悩みましたが……
20ものお店があると、さすがにどこに入ろうか悩んでしまいます。ちなみに、このムンヒョン洞コプチャン通りでもっとも有名な店は、映画『チング』の撮影現場として使われたチルソンシッタン。そして、その正面にある、元祖ムンヒョンハルメコプチャンの2つが元祖格として名を馳せています。今回は、おばちゃんのフレンドリーな笑顔と、同行した友人の強烈なすすめで、元祖ムンヒョンハルメコプチャンに入ることにしました。
さあ、いただきますの時間です!
というわけで店に入って、席にもつきました。2人前のコプチャンを注文し、喉をうるおすためのビールも注文します。エプロンもして準備は万端。さあ、待ちに待ったこの瞬間がやってきましたよ。ビールをぐいっとやらせて頂きます。最初の1杯をついでもらうのももどかしく、我慢たまらず一気にきゅーっ! ぷっはぁ。くはぁっ。いや、最高!
なんてことをやっているうちに、コプチャンが運ばれてきました。目の前でジリジリジワジワと焼かれていきます。すぐにでもかぶりつきたいぐらいですが、焼けるまではちょっとの間我慢。突き出しの野菜などをつまみつつ、突撃命令が下るのをじっと待ちます。

コプチャンの舞台裏をちょっと紹介

焼けるまでの間、ちょっとだけ舞台裏をのぞいてきました。実はこのコプチャン、お客さんの前で焼き始めるのではなく、店のほうである程度まで火を通してから出すことになっています。店内には専門の焼き場が2ヶ所。1ヵ所目では下ごしらえの済んだコプチャンにじっくりと火を通し、2ヶ所目ではヨムトン(ハツ)も加えてさらに焼きます。ほどよいタイミングで特製のタレをかけまわし、全体によく馴染ませたら、ここでやっとお客さんのもとへ。事前に焼いておくのは、お客さんの待ち時間を減らすとともに、作業に集中できる焼き場でムラなく火を通し、タレを全体に行き渡らせるという目的があるそうです。
そしてやってくる至福の時間
さて、そんな裏話を聞いているうちに、コプチャンがいい感じに焼けてまいりました。店の人の「もういいよ」の声を聞くと同時に、全軍突撃開始です。わっか状になったコプチャンの、特に柔らかそうなところを選んで箸を伸ばします。小皿にとりわけられた秘伝のタレにちょちょっとつけて、アツアツのところを大口あけてパクリ。前歯、奥歯でクニクニ感を楽しんでいると、こってりジューシーな脂が溶け出してきます。臭みなし。嫌な固さもまったくなし。噛みしめる心地よさと、ほとばしる旨みが、タッグを組んで襲いかかってきます。うまい。コプチャン最高!
コプチャンはとろりとした部分もあれば、食感の異なるコリコリした部分もあります。ザックリした食感のヨムトン(ハツ)も含めて、どれもこれもが、うまくてうまくてたまりません。そして、この瞬間。
「これは焼酎だ!」

と、電撃に打たれたような大発見をしました。確かに、これはビールを飲んでいる場合ではありません。目の前にあったビールグラスを、一息にあけ、大声で焼酎を注文。運ばれてくるのは、もちろん釜山人にとって誇りと愛情の酒、C1ソジュです。
よく冷えたC1ソジュをぐっと一気に飲み干すと、口の中に広がっていたコプチャンの脂が、すうっと洗い流されました。同時に焼酎のエネルギーが食道から胃のあたりにかけてをチリチリと刺激していきます。思わず飛び出る「ぐはあーっ!」の声。コプチャンに、C1ソジュの組み合わせは、まさに黄金コンビといえましょう。
そして鉄板だけが残され
食べ始めから、食べ終わりまでがあっという間。最後に残った1カケラのコプチャンを、名残惜しくつまみます。2人前のコプチャンを、しっかりと完食。美味なる感動を、堪能させて頂きました。大満足です。
ちなみにお会計は、コプチャン2人前にビールと焼酎。これらを全部あわせて、1万6000ウォンでした。ヤンゴプチャン(牛のコプチャン)の名店として知られるオマッチッで、特ヤン(上ミノ)が1人前16000ウォンであることを考えると、やはり破格の安さです。もちろん牛と豚を同一ライン上で比べることはできませんが、予算を踏まえた上での満足度については、高く評価をするべきでしょう。
ムンヒョン洞で食べる豚のコプチャン。フトコロはさびしいけど、おいしいものは食べたい。そんなときには、まさにうってつけの一品です。脂がのって、クニクニコリコリとしたコプチャンは焼酎のおともにも最高。一杯飲みたい人にもおすすめです。個人的には、今回行けなかったチルソンシッタンのほうにも、次は行ってみたいですね。ムンヒョン洞コプチャン通りは何度も通いつめたい場所です。以上、K・F・Cでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2004-08-23

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