慶州民俗工芸村

キョンジュミンソッコンイェチョン경주민속공예촌

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新羅の芸術を現代に再生する匠の工房をのぞく

アンニョンハセヨ、ナビです。1000年以上もの昔に新羅人たちが作り上げた芸術作品を現代に蘇らせる人々がいます。古墳から発掘された黄金の冠、素焼きの騎馬人形像、石塔や仏像など。古の芸術家たちが魂を込めて作った美術品に、時代を越えて新しい命を吹き込む村。慶州民俗工芸村(キョンジュミンソッコンイェチョン)は現代に現れた新羅の工房なのです。観光客にとってはバラエティに富んだ芸術作品を、その製作現場まで見学できる楽しい場所でもあります。歴史の中から汲み出された匠の技をのぞいてみましょう。
慶州民俗工芸村はこんなところ
慶州の主要エリアを循環する10番、11番というバスに乗ると慶州民俗工芸村に行くことができます。仏国寺(プルグッサ)からは11番バスで約10分。普門(ポムン)観光団地からも近く便利なところにあります。慶州民俗工芸村は新羅時代の工芸技術を現代に再現し、後世まで保存することを目的として1986 年に作られました。それまで市内に散在していた職人たちが集まってできた工芸村には、現在では18の工房と1つの歴史博物館が軒を連ねています。金属工芸、陶磁器、木工、宝石、石工、刺繍、竹工芸など、伝統を守って作られた新羅の美術品が展示、販売されています。

工房見学その1(金属工芸)

ナビがまず見学に行ったのは金属工芸を扱う工房。天馬塚(チョンマチョン)や瑞鳳塚(ソボンチョン)から掘り出された黄金の冠などを手がけています。作業場のガラス戸をガラガラと開け「見学してもいいですか?」と聞くと、快く中に入れてくれました。このとき見せて頂いたのは、銅剣のつかに刻まれた装飾部分を再現する作業。精密に描かれた図面や本物の写真と見比べながら、線の1本1本まで丁寧に彫り込んでいきます。

工房見学その2(新羅土器)

新羅窯という工房が持つ展示場を訪ねてみました。ここでは新羅土器の展示販売をしています。ひとまわり眺めてみたのですが、並んでいる商品はどこか見覚えのあるものばかり。そうです。国立慶州博物館でまったく同じ土器を見ました。鴨型土器、騎馬人物像、杯など。国宝としてショーケースの中に大事に保管されていたはずの土器が、ここで再現され展示販売されているのです。
展示場の外に案内されると、そこには巨大な登り窯がありました。ここ新羅窯の土器はこの登り窯を使い1300度という高温で5日間かけて丹念に焼かれます。焼いた後も冷やす時間がかかるため窯に火を入れるのは1年にわずか4回とのこと。時間をかけて丁寧に作られています。
作業部屋では職人さんがろくろを回していました。粘土の塊がみるみるうちに姿を変えていきます。職人さんが手に持っているのは牛の皮。これを表面に当てて形を整えていきます。外から中から徐々に厚さと形を作り、表面には細かい模様をつけていきます。その形はもはや古代の土器そのもの。ろくろが止まるまでわずか15分足らずという早業でした。

「ほい、できた。触ってごらん。」

職人さんは土器をろくろから外して見学者の前にトンと置きました。え、触ってもいいの? そばで目を丸くしながら見ていた子供たちが恐る恐る指でつつきます。薄く延ばされた土器はつつくと全体がポヨンポヨンとやわらかく震えます。

「うわー、ゴムみたいだあ。」

子供たちから驚きの声があがります。それを聞いたお母さんたちもつられて指でポヨンポヨン。ナビも誘われるように指でポヨンポヨン。「ゴムみたいだあ」の大合唱になってしまいました。触っていいよと言われたものの、できあがったはずの土器はみんなが触って指紋だらけ。本当に触ってよかったのでしょうか……。
この新羅窯を始め、いくつかの窯では体験実習ができます。新羅窯では毎日午前10時から午後5時までを体験実習の時間として開放しています。大人20000ウォン、子供15000ウォン。事前に予約を入れることをおすすめします。

新羅窯
住所 慶州民俗工芸村内
電話番号 054−746−1115
FAX番号 054−746−2868
営業時間 9:00-17:00(1.12月)、9:00-17:30(2.11月)、9:00-18:00(3.10月)、9:00-18:30(4-9月)
日本語 通じる

工房見学その3(木工芸)

木工を扱う工房の展示場を訪れました。タルと呼ばれる韓国の伝統的な仮面。民俗工芸村の入口にもある村の守り神として立てられたチャンスンの置物。雁鴨池(アナッチ)から出土した宴会用のサイコロなどが並んでいます。
ナビが魅かれたのはこの小さな木彫りの人形。フクロウ? いやミミズクじゃないの? と会話を交わしていたのですが、店の人に聞いたところコノハズクだそうです。コノハズクの人形。ちょっとしたお土産にもよさそうです。

工房見学その4(韓紙)

伝統的製法で作られた紙を日本では和紙というように、韓国では韓紙(ハンジ)といいます。この工房にはとても紙で作ったとは思えないような品物が飾られていました。小箱や膳、食器など。台紙に韓紙を貼って絵を描き、ニスを塗って作ります。紙で作られた食器ですが、水洗いも大丈夫。軽くて扱いやすいのが特長です。
慶州民俗工芸村にはそのほかにもたくさんの工房が集まっています。陶磁器、ハンコ、アメジスト、伝統衣装などなど。工房同士は隣接しており、敷地内もぐるっと一回りできる距離です。あちこちの作業場にちょっとずつお邪魔しながら、新羅の文化を味わってみてください。

新羅歴史博物館に行こう

敷地の左奥、もっとも深い位置に新羅歴史博物館があります。第2石窟庵とも呼ばれるこの博物館は、模型をうまく利用して石窟庵(ソックラム)や瞻星台(チョムソンデ)などについて詳しく学べるようになっています。石窟庵は破損がひどく、また世界遺産に登録された貴重な場所であるため観覧はガラス越しでしかできません。この新羅歴史博物館では精工な模型を使って内部構造を説明し、内部に並ぶ仏像の姿も見られるようになっています。また瞻星台の利用法や上部の原寸大模型なども展示されており、貴重な文化財への理解をより深められます。まずは石窟庵や瞻星台を見て、それから新羅歴史博物館を見学されることをおすすめします。
新羅歴史科学博物館入場料(単位はウォン)
大人
個人2000/団体1500

青少年
個人
1100/団体1000(学生証持参)

子供
個人1000/団体700

※団体は20名以上
すべての工房をまわったわけでもないのに、敷地をひと巡りして戻ってくると2時間半が過ぎていました。工房をのぞいて、歴史博物館を見学して、入口付近にある総合展示場を見てと、あれこれしているうちにいつの間にか時間が過ぎてしまったようです。陶磁器やアメジストなどもここではデパートや免税店などに比べ安く販売されています。買物としても観光としても楽しめる慶州民俗工芸村。ぜひ1度足を運んでみてください。以上、ナビでした。

記事登録日:2002-11-18

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2002-11-18

スポット更新日:2012-06-22

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