昔脱解王陵(慶州)

ソッタルヘワンヌン석탈해왕릉

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知性を買われた新羅の第4代王は松林に囲まれ静かに眠る

アンニョンハセヨ、ナビです。車が行き交う大通りを1本外れ、松林に囲まれた静かな場所にひとつの王陵があります。新羅第4代、昔脱解(ソッタルヘ)王の陵墓です。昔脱解王は新羅草創期の伝説によく登場する優秀な国王です。在位期間は西暦57~80年とはるか昔であるにもかかわらず、彼に関する逸話はなんと誕生前から克明に記録されていました。波乱に満ちた彼の人生を、物語形式にまとめてみました。
登場人物
昔脱解。新羅の第4代国王。在位57~80年。第2代、南海(ナメ)王に認められ婿養子として入る。王妃は阿考夫人。義兄の儒理(ユリ)王(第3代)の後を継ぎ62歳で王位につく。
昔脱解物語(誕生編)
その昔。竜城国(三国史記によれば多婆那国)というところでの話です。王は積女国の王女を娶って王妃としましたが、長い間子供ができないという悩みを抱えていました。王は毎日、神に祈りを捧げ、後継ぎの誕生を願いました。やがて王の願いは天に通じ、王妃はやっと妊娠したのですが、今度はいつまでも子供が生まれてきません。そのまま7年が経過し、王妃は子供でなく大きな卵を産みました。これは不吉の前兆であると、王は卵を捨てるように命じました。しかし王妃は納得せず、絹の布で卵をくるみ、宝物とともに箱に入れ、大事に海に浮かべて行き先を天にまかせました。
流れ着いたのは辰韓の阿珍浦(アヂンポ)という海岸でした。海辺に住んでいた老婆がこの箱を見付けて開けてみると、中からは1人の少年が出てきました。このとき1羽の鵲(かささぎ)が箱のそばを守っていたため、この鵲という字から偏をとって昔(ソッ)の姓を与え、また箱を開いて少年を出したことから脱解(タルヘ)と名前をつけました。
昔脱解物語(青雲編)
昔脱解は青年になるにつれ、学問や地理に精通するようになりました。彼の智謀を示す伝説がひとつあります。あるとき昔脱解は南山の麓に三日月状の縁起のいい場所を見つけました。ぜひともそこに住みたいと思ったのですが、そこにはすでに新羅の重臣瓠公(ホゴン)の家がありました。どうしてもそこの土地を手に入れたい。昔脱解は一計を案じます。瓠公の家の周りに砥石や金物、炭などを埋めると、後日瓠公に向かって言いました。
「この土地はもともと私の先祖のものなので返してください。私の先祖はこの土地に長く住んでおり、わずかの間他の国に出ただけです。先祖はここで鍛冶屋を営んでいました。きっと家の周辺を掘れば確実な証拠品が出てくるでしょう。」
驚いた瓠公が家の周辺を調べてみると、確かに金属や砥石などが出てきました。それを見た瓠公はしぶしぶながら納得し、この地を手放しました。後に国王となった昔脱解はこの地を王城と定め王宮の建設を始めました。その城跡こそが現在の半月城(パヌォルソン)です。
昔脱解物語(王位継承編)
計略を用いて瓠公の土地を手に入れた話が第2代、南海王の耳に入りました。昔脱解の智謀を喜んだ南海王はただちに娘の阿考と結婚させ、いずれ昔脱解を王位につかせることとしました。南海王の死後は息子である儒理王が継ぎましたが、その儒理王が病気になって倒れたとき、儒理王は義弟である昔脱解を次の王に指名しました。こうして昔脱解は62歳のとき4代目として王位につきました。

昔脱解物語(王位編)
昔脱解王が即位して9年目のことでした。瓠公が半月城のそばを歩いていると、始林というところがキラキラと光っているのを見つけました。その場所には天から紫色の雲が伸びており、見ると木に金色の櫃がかかっています。木の下では鶏が何かを知らせるかのように声高く鳴いており、ただ事ではないと驚いた瓠公は昔脱解王に報告をしました。すぐさま王が始林まで駆けつけ金の櫃を開けてみると、中から美しい男の子が出てきました。大いに喜んだ脱解王はこの男の子を閼智(アルチ)と名付け、また金の櫃から生まれたとして「金」の苗字を与えました。このとき与えられた金の苗字が現在まで脈々と続く慶州金氏の始まりであり、新羅に続く金氏王朝の始祖となりました。その後、始林と呼ばれていたこの場所は木の下で鶏が鳴いていたことから鶏林(ケリム)と呼ばれるようになりました。

昔脱解物語(崩御編)
昔脱解は24年間の在位を経て亡くなりました。王位は儒理王の第2子である婆娑(パサ)王が継ぎました。昔脱解の遺骸は神のお告げがあり東岳に葬られました。
現在は慶州市街地からやや北に行った小金剛山の麓に昔脱解王陵があります。昔脱解を除いた初代から5代までの王は五陵(オルン)という場所に並んで埋葬されています。昔脱解王の陵墓はひとつだけ離れたところにあり、そこは少し物悲しささえ感じさせる静かな場所でした。以上、ナビでした。

記事登録日:2002-12-18

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スポット登録日:2002-12-18

スポット更新日:2012-06-20

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